岐阜県の小水力発電事業がイケテないという話 --- うさみ のりや

アゴラ

最近農業用水を使った小水力発電事業に取り組み始めました。

FITでもりあがるこの業界なのですが、官庁がコスト感覚無しに金をばらまきすぎて民間で広がらない、という典型的なクラウディングアウト構造が起きています。以下の表を見れば一目瞭然なのですが、公共機関の設備調達価格が民間の標準の3~4倍に達しています。

そんな中おあつらえ向きに先日岐阜県の中津川で農業用水を用いた小水力発電を作ったという記事を見かけたので、この発電事業の採算性を計算してみました。(http://www.kankyo-business.jp/news/007027.php

記事を見ると条件としては

出力:220kw

稼働率:87%

総工費:3億3800万円

なので、設備単価を計算してみると153.6万円/kwということになります。200kw超クラスの設備単価の採算ラインは80~90万円前後なので周辺整備費を込みにしたとしてもかなりイケテマセン。でもって疑問なのが200Kw未満ならば買い取り価格が35.7円/kwhなのにも関わらず、220kwに設備を拡張することで買い取り価格を30.45円/kwhに下げていることです。

小学校4年生くらいでも「200×35.7=714 >>>220×30.45=669.9」という計算はできると思うのですが、岐阜県の担当者はわざわざ追加で20kw相当(153.6万×20)の3072万円を投資して売上・採算性を落とすという、謎の判断をしています。バカなんでしょうか?

細かい数値は企業秘密なので言えませんが、メンテナンスに1年あたりだいたい建設コストの1%程度かかるという前提で計算したところ、IRRは3%弱ということで損はしないまでも得もしないという事業になっている模様です。ちなみに200kw未満に抑え込んでおけばIRRは6%近くまでいきました(笑)僕が岐阜県民だったらやってられないので、無駄に投資を増やして採算性を悪化させたこの担当者の査定が案じられます。南無三。

まぁ細かい話は置いといて、小水力発電業界は供給側の制約が大きいのでこうした行政の放漫な事業が行われると事業者が状況に甘えて採算性を改善しなくなるので却ってその普及を妨げることになりかねません。全国の地方自治体の小水力発電に関わる担当者は「自分たちが適正価格で購入しないと、かえって再生可能エネルギーの普及を阻害するんだ」ということを理解して仕事に取り組んでいただくことを望みます。

ではでは今回はこの辺で。


編集部より:このブログは「うさみのりやのブログ」2014年2月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はうさみのりやのブログをご覧ください。