スタバやリンガーハットが実践する「コスパよりバリュー」戦略 --- 内藤 忍

アゴラ

日経ビジネス最新号(2014.4.7.号)の特集は「脱デフレで勝つ」です。安売り競争に巻き込まれるのではなく、「高く売るための体制」を作るための具体例を分析しています。


実例として出てくるのが

掃除機のダイソン
カプセルコーヒーのネスプレッソ
バイクのハーレーダビットソン
家庭用ミキサーのバイタミックス
長崎ちゃんぽんのリンガーハット
スターバックスコーヒー
フィリップスのノンフライヤー
ハーゲンダッツアイスクリーム
高級スーパーのアマノパークス
アイロボットのルンバ
日本酒の獺祭
3000円の高級食パンのルセット

などです。これらの企業の商品に共通するものは何なのでしょうか?

それは、競合他社との価格競争に走らない「何か」を維持し続ける仕組みを持っていることではないでしょうか?

例えは、「コスパではなく、バリューを追求する」。

バイタミックスのミキサーは本体価格が79,000円もするそうですが、アボガドの種まで粉砕するような強いパワーが、支持されています。長崎ちゃんぽんのリンガーハットは、食材を国産野菜に切り替え、価格を逆に値上げして価値の訴求を行い、赤字から黒字転換しました。

また、スターバックスコーヒーは4月に800人の契約社員を正社員化し、人材育成を本格化して、バリューをさらに高めようとしています。

山梨のスーパーアマノが展開するアマノパークスは「安いよ」というかけ声は一切聞こえないそうです。その代わり、有名ホテル出身のシェフが作る高級惣菜が名物になっていて、顧客はそれを目当てに来店するそうです。

このように単なる価格競争ではなく、「価値>価格」とすることで、単価が高くでもそれ以上の価値があることに納得してもらえれば、顧客を惹きつけられるのです。

あるいは、商品・サービスの価値を伝えるマーケティングも重要だと言えます。

カプセルコーヒーのネスプレッソは表参道に直営店を出店して、コンセプトを説明しています。あるいは、ネスプレッソクラブという会員組織が高いサービスを提供し、ロイヤリティを高める役割を果たしているのです。ネスプレッソブランドを作り上げているのです。

ブランディングに成功しているのはハーレーダビットソンも同じです。バイクに乗りたいのではなく、ハーレーに乗りたいという熱狂的なファンがいるのです。

このようなブランドに対する信仰は簡単には実現できませんが、一旦確立すれば、高い収益を生み出し続けます。

記事に書かれた「7つの発想転換」という切り口は、ピンときませんでしたが、取り上げられた実例には、脱デフレに悩む企業の解決のヒントが満載でした。

「日経ビジネス」はこの手の企業戦略もののネタ探しに強みがありますね。毎回、豊富な具体例がとても参考になります。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年4月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。