今週発売の「日経ビジネス2014.4.7.号」には格安航空券販売のHIS(エイチ・アイ・エス)の澤田会長の経営教室が掲載されていますが、この記事もまた読ませます。
1980年にエイチ・アイ・エスの前身となるインターナショナルツアーズを立ち上げ、その後もスカイマークエアライン、ハウステンボスの再建と経営手腕を発揮してきました。
記事によれば、学生時代にドイツに留学していた澤田氏は、インターナショナルツアーズを設立する前に、毛皮の輸入販売の会社を立ち上げたそうです。日本では超高級品だった毛皮が、欧州では手頃な価格で販売されていたのを見て、内外価格差に着目したのがその理由。しかし、これはワシントン条約の影響で輸入が難しくなり、格安航空券にシフトしたのです。
そんな澤田さんの経営の根底にある思想は「消費者のため」という大義だと思います。
海外の2倍の価格だった飛行機のチケットを大量に仕入れて安く販売する(HIS)。競争原理の働かない日本の航空業界に、季節や時間によってフレキシブルに価格が変わる航空会社を作る(スカイマーク)。冬の集客に苦労しているテーマパークにイベントを仕掛けることで、お客さんに喜んで来てもらう(ハウステンボス)。
すべてに共通するのは、世界では当たり前のことが、日本に無い。だったら、自分がやるという発想です。
「世界の常識は、日本の非常識」を日本に持ち込むのが、澤田さんの真骨頂です。
世界を見回してみると、未だに日本国内には世界とのギャップのあるエリアが存在します。
澤田氏が、今「日本の非常識」だと見ているのは、増え続ける海外からの観光客に対する日本国内のインフラ整備です。円安によってたくさんの外国人がやってくるようになりました。2013年には来日者数が1000万人を超えました。今後は、新興国の所得の高くない人たちも観光で日本にやってくる。なのに、それを受け入れるLCH(ローコストホテル)が無いと言うのです。
2015年に商品化するということなので、HIS流のホテル経営がどうなるのか。こちらも消費者の度肝を抜くような革新的なサービスが出てくるのではないかと今から期待しています。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年4月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。