医療費が膨らんでいる。厚生労働省が昨年発表した平成24年度の医療費は38兆5850億円。10年連続で過去最高を更新している。医療費の50%以上が65歳以上の高齢者に対するものだ。
今年4月に増税がなされるが、医療に限らず年々増え続ける高齢者の社会保障を賄うだけでもいったいどれだけの増税を重ねなくてはいけないか分からない。やはりどこかで歯止めをかけない。その医療費を抑制する意外な方法を、友人の薬剤師である海野ゆか氏が教えてくれた。
結論から言うと、病院の診察代や薬局での薬の支払いを窓口で一旦全額支払ってもらうようにすることだ。そして払った分は後で市役所に領収書を持っていけば還付してもらえるようにする体制にすれば医療費が削減できるのではないかということだ。
具体的に子ども医療と高齢者医療の2つを例に説明する。まず医療費が一部無料である子ども医療(市町村によっては年齢や学年で分けている場合もある為一律ではない)に関する提案は以下のようになる。
(現状)
診察代無料、薬無料なのでお財布を持たずに病院に行ける。
↓
(提案)
一旦現金で診察代や薬代を支払ってもらう。その後、市役所等管轄の役所に領収書を持っていけば代金を還付してもらえる。
次に、高齢者の医療費についての提案は以下である。
(現状)
見かけ上の所得に応じて1割~3割を窓口で負担する。
↓
(提案)
現状1割負担の人を2割負担に引き上げる。窓口では3割負担してもらい、市役所等に領収書を持って行けば差額の1割を還付する。
これでなぜ医療費が削減できるかというと、一旦現金で支払う必要があることと市役所等に領収書を持っていかなくてはならないという2重の精神的負担を強いることで、本当に重症でない限り受診を控えるようになるからだ。また、実際に現金で支払っても、少額の診察代であれば市役所に行くのが面倒で還付しに来ない人も一定数いると思われるからである。
患者の中には受診が必要とはいえない軽微な症状でも、とりあえず病院に来る人が少なからずいるという。もちろん、患者は医者ではないので何が軽微かは判断できないわけであるが、一時期社会問題となった暇つぶしに病院にくる「病院のサロン化」はこれで回避することは可能であろう。また現金を一旦支払うことで、実際の医療費がどれだけかかっているかを肌で感じてもらうこともできる。
反発が大きそうな提案であるが実際問題、子どもはともかく、高齢者の方にはこれに加えて、1割負担ではなくそれ以上の負担をお願いしないとこの国は回らない。海野薬剤師は「2割以上の負担は必要」と強調した。
東猴 史紘
元国会議員秘書
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