私がこのブログを始めたのは1996年ですが(当時はブログではなくホームページ)、当時はネットを使う人も少なく、ホームページを持つのもまだ珍しかった頃です。会社の先輩がホームページを立ち上げて、その画面に自宅の住所を掲載していて、消した方が良いですよ、とアドバイスした覚えがあります。そんな牧歌的な時代でした。
ネット上の個人情報については、何が正しいのか良くわからないことがたくさんあります。
最近、フェイスブックを見ていると、自分の写真はおろか、自分の子供の写真をバンバン掲載している人がいます。かと思えば、子供の写真はセキュリティの問題があるからと、絶対に掲載しないという主義の人もいます。
ネット上のセキュリティはどんな風に考えていったら良いのでしょうか。
確かに、ネット上に個人情報をさらすのは掲載しないよりはリスクです。子供の写真を掲載すると、誘拐事件のターゲットにされたりするのが怖いというのが、親の心理なのでしょう。しかし、ネット上で顔写真を掲載しなくても、そのリスクにはほとんど差が無いようにも思えます。ネットで顔が出なくても、犯罪をしようとする者はリアルの世界で勝手に行動してくるからです。
だから、ネット上の情報管理をいくらしても、リアルの環境が危険であれば、あまり効果はない。そう思うのです。
以前、ネット上で自分の海外旅行のスケジュールを掲載していた芸能人の留守宅に、泥棒が入ったというニュースがあった記憶があります。長期で自宅を空けていることが、わかっていたので、泥棒に狙われたというのです。しかし、これも旅行のスケジュールが掲載されていなかったとしても、同じ結果になっていたのではないかと思います。
リアルの世界のセキュリティシステムがしっかりして、警察の定期的なパトロールなどで周辺の環境がきちんと管理されていれば、そもそも泥棒だって狙わないはずだからです。
ネット上での個人情報の管理は確かに重要です。しかし、過剰に反応しても、実質的な効果がほとんどないのなら、単なる自己満足で意味がありません。
また、私がやっているような仕事は、ある程度まではネットに意図的に個人情報を露出しなければ、信用も得られませんし、認知もされないという環境にあります。
どの情報は出しても良いのかについて、正直あまりロジカルに対応しているとは言えない状態ですが、基本はリアルな環境でのリスクコントロールこそが、ネットのリスク管理に優先するということです。今まで比較的無頓着だったリアルな世界のリスク管理に、もっとと注意を払いたいと改めて思っています。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年4月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。