韓国の危機は「内なる敵」から起きる --- 岡本 裕明

アゴラ

最近、韓国の話題が特に目につくような気がするのは私だけでしょうか? 伊藤博文を暗殺した安重根の銅像を中国のハルビン設置に関する話を習近平国家主席にお願いした朴槿恵大統領。それが日米韓首脳会議の直前だったこともいただけません。その朴大統領は三者首脳会議では大人げない態度を見せました。


一方、日本は北朝鮮との間で日朝政府間協議の再開があったことで韓国側は焦っています。その内容の報道を見る限り私にはポジティブなイメージが残っています。北朝鮮は日本にすり寄る可能性がある気がします。その理由に関しては先日のブログを含め、過去に何度か書かせていただきました。

一方で米韓の共同軍事演習で北朝鮮は扇動的行動に出ています。

このわずか数週間ぐらいの間に韓国をめぐる大きな話題が実に多く上っているのです。なぜでしょう? 私には韓国全体に軋みが来ているように見えます。社会も経済もそして政治にも安定感が一つも見えません。

経済面では鉄鋼大手のポスコが三期連続減益の上、利益率は4.8%台と以前の二桁の勢いはもはや見る影もありません。更に話題をさらっていたインドネシアの高炉一貫製鉄所は稼働からひと月もたたぬ間に大きな事故が二件続き厳しい状況が続きます。サムスンもハードからソフトへの転換を図るとともにシリコンバレーにデザインセンターの拠点を持つものの相変わらずの物まねスタイルの上に韓国式の厳しい業務姿勢に現地従業員はなじめず、悲鳴との記事もありました。8日発表の1~3月決算は二期連続の減益で明らかに今までの調子ではありません。

李明博大統領時代に大輸出国家に仕立て上げるため、韓国の国内企業間の競争を少なくし、輸出攻勢をかけやすくする政策を取りました。ところが李大統領の任期が終わることを見越してか、現代自動車が自社の自動車鋼板の為に自社の息のかかる鉄鋼会社からの鋼板の購入を増やしました。ポスコにとってはこれで影響がでた上、海外では新生、新日鉄住金の頑張りもあり、経済の歯車がかみ合わなくなってきているのです。

以前書きましたが、サムスンも体質改善をしない限りあと5年もすれば中国の企業に完全に食われてしまうリスクを抱えていますし李健熙会長もそれを社員に言い続けています。サムスンは韓国の株式市場を始め、国家経済の重要な部分を占めているため、同社が風邪をひけば韓国は肺炎になるなるのです。これが見えてきたというのが韓国の最大の問題であります。

一方で我々が気にしなくてはいけないのは韓国は負けを認めない国であります。朝鮮半島の歴史を考えてみると高句麗の時代以降、第三国が半島に対して誰かが強い影響を及ぼし、誰かが半島を救うという時代の繰り返しでした。それに対して韓国の人は当然満足していない、だからこそ負けを認めないのであります。その上、大中華思想の中で日本は野卑な国ですから、そんな国に対しては当然ながら「差別意識」をもった見方が歴史の中で脈々と生き続けているのでしょう。

つまり、韓国は日本に対して常に負けを認めず、何かにつけて自分たちの功績であると気勢を上げ続けるのであって、これが一時的に弱まることはあってもなくなることはないのでしょう。そんな韓国を救えるのは歴史認識からすれば中国がナチュラルになります。しかしそこでまた、中国と仲良くなればいつの間にか中国の属国になってしまい、それに反発して日本との関係を改善しようという動きになる、という歴史の繰り返しになります。

そんな中、北朝鮮が仕掛ける日本へのラブコールは対韓国、中国外交において劇薬そのもので成功すれば世界地図を塗り替えるぐらいのことになりますが失敗すれば撃沈されるリスクがある非常に難しい判断となるのでしょう。日本政府も厳しい判断と外交を求められることになりそうです。

日本をバッシングし続ける韓国が一番恐れなくてはいけないのは自国そのものであり、南北統一という野望はそれこそ歴史を塗り替えるほどのインパクトがない限り簡単ではないとみています。世間の風向きは変わりそうな気がしています。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年4月9日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。