オープンデータは、産官学の有志が自発的に進めています。ほとんど。エラい。だから、ホメるしかありません。
オープンデータ流通推進コンソーシアムは、今年もまた勝手表彰をしてみました。ぼくが委員長を務める利活用・普及委員会が優れた取り組みを見せる関係者をコンソーシアムとして勝手に表彰するというものです。
参考 2013年の勝手表彰「オープンデータの優れモノを勝手に表彰してみた」
●最優秀賞
「インターナショナルオープンディ 2014」
by OKFJ及び全国の開催地域
http://odhd14.okfn.jp
2014年2月22日に世界中の都市でオープンデータイベントを開催。2014年には昨年の4倍の32都市が参加しました。開催地域の数、参加者総数、世界の中でのプレゼンスの向上、いずれも文句のない実績となりました。
● 優秀賞
「データカタログサイト試行版」
by日本政府(内閣官房 IT総合戦略室)
http://www.data.go.jp
2013年12月20日にスタート。1万件近いデータセットのメタデータを公開。今年度のオープンデータの動きを象徴するサイトであると同時に、個々の自治体の活動全体を代表して選定。
(ところがこのサイトが2014年度に入ったところで「一時休止」になってしまい、関係者に不安が広がりました。がんばれ政府!)
● 優秀賞
「5374(ゴミナシ)」
by一般社団法人コード・フォー・カナザワ
http://www.5374.jp
Code for Kanazawaから生まれたアプリ。いつ、どのゴミが収集されているか。また、各ゴミのジャンルごとに捨てることのできるゴミがわかるようにしたアプリ。
● 優秀賞
「富岳3776景」
by静岡県と山梨県
http://fugaku3776.okfn.jp
富士山を含めた風景写真を全国から集め、オープンデータとして提供するウェブサイトを公開。富士山という魅力的な資源を活用し、個人が投稿したデータを扱う点を評価。両県の連携というのもポイント。
今年度は、総務省と当コンソーシアムが共催して実施した「オープンデータ・アプリコンテスト」の表彰式も併せて実施しました。短期間に92件の応募をいただきました。
●最優秀賞
「花粉くん(花粉くん.com)」
by博報堂アイ・スタジオ
http://kahunkun-dev.cloudapp.net/pc/index.html
花粉飛散量と飛散地点周辺や観光スポットで投稿されたTwitter投稿解析から算出した独自の体感ポイントKTP、総合花粉情報をオリジナルキャラ「花粉くん」が毎日ゆるくお知らせしてくれるアプリ。
●優秀賞
「フォトロケハンター!!」
by株式会社jig.jp チーム・メガサバ
http://fukitama.info/works/apk/PhotoLocationHunter_app.apk
次々と出題されるミッションをゲーム感覚でクリアしていくことで、位置情報つき写真オープンデータを作り上げる新感覚アプリ。
● 佳作
「odStatViewer」
by東京国際大学佐藤研究室
http://satolab.tiu.ac.jp/statld/?p=2085
サーバを持たない人でも簡単にSPARQLを使ったアプリ開発とデータ開発ができるツール。リタイアした方のセカンドキャリア形成に資する二次加工データの流通マーケットの確立を提唱。
以上、ぼくが直接賞状を手渡した受賞者のみを記しましたが、勝手表彰は11件、アプリコンテストは13件、計24件の賑やかな表彰となりました。
昨年の表彰でぼくは、企業、NPO、学校、中央官庁、地方自治体、多彩な主体が評価された、その多様性に感銘を受けました。今回も同様でした。幅広い領域のかたがたが活躍されている。心強い限りです。
最近、オープンデータでぼくが膝ポンしたことが二つありました。まず、佐藤秀峰さん。「ブラックジャックによろしく」のデータを二次利用開放したことで、さまざまなコンテンツや商品が生まれ、1年で7千万円もうかった、という話。案外コレは単純なことだぞ、と。
もう一つは、前回のこの委員会での指摘。1つのデータをオープンにしてもビジネスにはならず、さまざまなオープンデータと、自社のクローズドなリソースとを組み合わせることによって、ようやくビジネスは開けるという話。案外コレは複雑なことだぞ、と。
ビジネスモデルという言葉はキライです。ビジネスモデルができた後にビジネスはないと思うので。でも本件は今、モデルが求められているんだと思います。わかりやすいモデルがいくつか並びたち、それをめがけて多様な主体がサービスを作る。
現に今回の24件には、いろんなモデルが姿を現していると思います。そうなると、それを早く実績として成立させねばならぬ。
ぼくはビッグデータやオープンデータが専門ではありません。産官学で新しいジャンルを立ち上げる、のが専門です。だから、立ち上がって、表彰会場にご参集の、ご専門のみなさんが全部を仕切り、ぼくがお役御免になる日が待ち望まれます。
それまで、微力を尽くします。
編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2014年5月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。