低くなりつつある「カジノ」実現のハードル --- 岡本 裕明

アゴラ

1兆5000億円の市場規模と称されるカジノ。これは2012年のパチンコ業界の市場が1兆3700億円程度であったことからそれを上回る潜在的巨大産業ともいえるのですが、盛り上がっては消え、を繰り返しているこの夢のカジノ、今度こそは本当のものになるのでしょうか?


超党派の「国際観光産業振興議員連盟」は5月下旬に衆議院内閣委員会で実質審議入りを目指しているようです。当初、4月下旬を目標にしていたようですからひと月遅れ、更に今国会会期中に成立を目指しているようですが、ハードルは高そうです。

ただ、議員や識者、更には世論を含めてカジノに対する理解度は徐々に浸透してきていると思います。個人的には今国会での成立の可能性はともかく、さほど遠くない時期にこの法案は可決されるとみています。その理由を考えてみましょう。

日本ではパチンコや公営競技(公営ギャンブル)が正規の賭け事であります。その公営ギャンブルとは国や地方自治体の財政の下支えを目的としております。つまり、公的部門が税収入の減少、ないし、支出の増加に伴い赤字になった時の補てんの方法としてギャンブルを認めるという法律であります。ところが、今や、公営ギャンブルは赤字続出でその本来の意味を全うしていないどころか、取りようによっては違法状態に放置されているともいえるのです。

現代人に競馬、競輪、競艇に興味があるか、あるいはやったことがあるか、という質問をしてどれぐらいの肯定的反応が来るでしょうか? ちなみに私は生まれてから今日に至るまで会社の同僚に5000円巻き上げられて馬券を買わされたのが唯一の経験です。昔、「101回目のプロポーズ」というドラマで武田鉄矢扮する星野達郎がボーナス全部はたいて「ば、ば、馬券買っちゃいましたー!」というシーンがありましたがあれももはやあり得ない話と言ってもよいでしょう。

場外馬券売り場というのも周辺環境が荒れるという風評があり、決して好意的に受け入れられるものではありません。

またパチンコ産業は在日韓国人や朝鮮人が大きく成長させた産業としても知られています。そしてその稼いだ金は朝鮮半島に何らかの形で渡ってきています。先日もパチンコで稼いだ金を巨額脱税していたとして摘発されたニュースがありましたが、これも韓国人でした。

そのパチンコ。駅前の一等地で手軽な日本人レジャーとして華やかなのはネオンだけでなく、業界そのものがよく潤い、警察も景品の両替を黙認するなど見事なバランスがそこに存在しているからでしょう。

しかし、パチンコも公営競技もある意味、コアなファンの為に超法規的措置が取られながら存続しているということを日本人が改めて認識すべきことだと思います。それを認めながらカジノはダメ、という論理は成り立たなくなります。むしろ、多くの日本人や観光立国の為に新たなる産業の立ち上げは内需の日本にとってどれだけ効果的かアピールする必要があるでしょう。

ではカジノのイメージですが、私はラスベガスのことを「大人のディズニーランド」と称しています。そこにはあらゆるエンタテイメントがあり、2泊、3泊の訪問客を楽しく、愉快なものにさせてくれます。カジノはその中のほんの一部であり、味付け程度であります。昔はギャンブルにはまる人がずいぶんいたと思います。いや、記憶に新しい100億円突っ込んだボンボン経営者もいました。が、今の時代、カジノをギャンブルと定義づけるのではなく、エンタテイメントの一シーンだと発想を転換すべきではないでしょうか?

仮にカジノが許可されればその営業許可される地域は限定され、場所によっては宿泊を伴う煩雑さもあるでしょうから日々通い、病的になる人も少なくなると思います(だからこそ、砂漠の真ん中のラスベガスだったともいえます)。

むしろ、カジノはリゾートをテーマにすることが多く、不動産開発の観点からも非常に高い期待が寄せられます。更に通常、一つだけでなく数多くのオペレーターが一か所に集結することから巨大なるインフラ整備にもつながります。まさに内需の固まりであるともいえるのです。勿論、税収にも大きな貢献をするでしょう。

私はそういう意味でカジノは早く現実化させ、2020年のオリンピックの際には間に合わせるぐらいのものであってほしいと思っています。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年5月4日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。