原発事故「避難指示区域」の広大さを実感する

アゴラ編集部

10日ほど前、福島第一原発、第二原発へ行ってきました。東京から常磐線の特急でいわきへ。JRの在来線に乗り換え、広野駅まで行き、東京電力のバスでまず第二へ。一泊して翌日、再び東京電力が手配したバスでJヴィレッジ経由で第一へ行ってきたわけです。

田植えを終えた広野町の水田


そのときは震災にともなう運転見合わせで、常磐線はまだ広野駅までしか開通していませんでした。6月1日に楢葉町にある竜田駅間が運転再開したようです。広野駅のある広野町は「避難指示区域」の外。途中の木戸駅と竜田駅のある楢葉町は「避難指示解除準備区域」内。福島第一原発を中心に北西50キロ圏内、南北20キロ圏内などが、依然として「避難指示区域」になっています。

政府の原子力被災者生活支援チームの発表によれば、「避難指示区域」は、三つの区域に分類されています。

  • 「避難指示解除準備区域」:年間積算線量が20ミリシーベルト以下となることが確実であることが確認された区域。
  • 「居住制限区域」:年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがあり、住民の被ばく線量を低減する観点から引き続き避難の継続を求める地域。
  • 「帰還困難区域」:5年間を経過してもなお、年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれのある、年間積算線量が50ミリシーベルトを超えている地域。


避難指示区域の概念図

避難指示解除準備区域、居住制限区域及び帰還困難区域についても引き続き避難指示が出されていて、原則として区域内での「宿泊はできません」。こうした情報は、当方もこれまで各マスメディアの報道や特集番組などで見聞きしてきました。

しかし、テレビや記事などからの情報と実際に現地へいった印象はかなり違う。地図でみてもそれほど現実感がないんだが、時間をかけてバスで移動しただけでも、これがどれほど広大な面積かわかります。

「避難指示解除準備区域」にしても宿泊はできないため、我々がバスで通った国道6号沿いは昼間でも人影はまばらで、家々の窓もカーテンが引かれてひっそりとし、コンビニが一軒だけ開いている、といった状況でした。常磐線が竜田駅まで復旧したように、少しずつインフラも整備されつつある。

これが「居住制限区域」から「帰還困難区域」に入ると、除染作業も少しずつ進んでいるものの、田畑は荒れ果て住居の周囲も雑草や灌木がはびこり、事故以前は繁盛していた評判の鰻屋も倒壊寸前で傾いたままです。

20キロ圏内と言えば、東京駅から鉄道で20営業キロだと新松戸駅や蕨駅、川崎駅あたりまでになります。タクシーで都内を昼間20Km走行すれば約6000円ほどになる。一口に20キロと言っても、ちょっと想像がつきにくい。ただ、「避難指示解除準備区域」には約3万2900人(約1万1200世帯)、「居住制限区域」には約2万3300人(約8500世帯)、「帰還困難区域」約2万4700人(約9200世帯)の住民がいて、依然として不安で不便な生活を強いられ、自宅にも簡単に帰ることができない状態が続いているわけです。

政府の「避難指示区域」の根拠は、年間20ミリシーベルト、というICRP(国際放射線防護委員会)が設定した数値にあります。ICRPは、事故後に被曝が長く続く場合(現存被曝状況)の放射線被ばく量は「年間1~20ミリシーベルト」としている。また同時に、事故復旧後における長期的な目標数値は「年間1ミリシーベルト以下」にするのが望ましい、とも言っています。

これは、人間が一年間に浴びても問題ない放射線量、ということなんだが、この数値について保守的なものからホルミシス的なものまで、多種多様な「学説」や異論反論があるのも確か。ただ、我々のように「一瞬」行って帰ってくるのとは違い、ずっとそこに居住しなければならない人たちにとっての「安全な放射線量」とはいったいどれほどか、議論はまだまだ足りないと思います。

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