世界の百万長者、2013年に19%増の1630万世帯に --- 安田 佐和子

アゴラ

ニューヨーカーの所得の伸びは家賃を大幅に下回っていますが、世界で富める者は着実に増加しています。

ボストン・コンサルティング・グループのウェルス・レポートによると、2013年に投資資産が100万ドル(約1億円)を超える世帯は前年比19%増の1630万世帯にのぼりました。全世界に占める割合はというと、1.1%。99%対1%の構図、そのまま当てはまります。

全世界での投資資産は、驚愕の152兆ドル(1京5500兆円)也。伸び率は14.6%増と、2012年の倍近くに膨らみました。そのうち株式資産がけん引しており、28%増を遂げています。S&P500が29.6%と1997年以来の高水準を達成していたので、当然といえば当然。アインシュタインが宇宙でもっとも強い力と評価した、金利の複利効果ではありませんでした。

地域別では、日本を除くアジア太平洋が前年比31%増、8兆ドル増加させました。その後に北米が16%増(7兆ドル増)、西欧が5.2%増(5兆ドル増)と続きます。

国別をみると、百万長者がもっとも増加した国は米国で、110万世帯が栄えある「1%」の仲間入りを果たしました。米国全体では、713.5万世帯と国別でも文句なしに1位を飾ります。

華麗なる百万長者2013年調査は、以下の通り。

(出所 : BCG)

2014年内に国内総生産(GDP)で世界一を米国から奪うとされる中国は2位で、2012年に150万世帯のところ2013年には237.8万世帯へ増加。現在でGDP2位の日本は逆に2012年から30万世帯減って124.0万世帯、3位となりました。ただし、これは円安による影響とみられます。

人口密度でみると、トップに立ったのは2022年のワールカップ開催が危ぶまれているカタール。1000世帯中、百万長者は17.5%に及びます。2位はスイスで1000世帯中12.7%、3位はシンガポールで1000世帯中10%でした。

百万長者ならぬ千万長者、英語で言うセンチミリオネア(centimillionaires)つまり投資資産が1000万ドル以上の世帯は、米国が王者の貫禄をみせ首位をさらい4754世帯を数えます。人口密度でいうなら、1000世帯中16.8%で香港がトップに立ちました。

今後はどうなるのか? 金融資産は向こう5年間で、198兆ドルに達する見通しなんです。既存の大富豪が資産を増加させるよりも、新興勢力が台頭を予想しており全体の3分の2の成長を担うとされています。向こう5年の間には、米連邦公開市場委員会に始まり欧州中央銀行やイングランド銀行など金利正常化に着手するはずですが、増加トレンドは変わらずという見通しは興味深いですね。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年6月10日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。