W杯、監督の年収は成績に比例せず --- 安田 佐和子

アゴラ

ワールドカップ、決勝トーナメントの火蓋が切って落とされ血で血を洗うかのような激戦が続いてますね。選手の能力とともに監督の采配が運命を決める一戦に、手に汗握りながら見つめていらっしゃる方も少なくないでしょう。

残念ながら日本は健闘むなしく予選リーグ敗退、ザッケローニ監督の退任というドラマで幕を閉じました。新たな監督探しに着手しているのでしょうが、年収と成績は比例するのでしょうか?

BBCのスポーツ担当主席記者のダン・ローアン氏がこんな分析をツイッターで投稿し、ひと目で教えてくれていました。

見づらくて恐れ入ります。実際のツイッターは、こちらでご覧下さい。

ポンド建てベースでの年収トップ10は、以下の通り。青字は、決勝トーナメント進出国です。

1位 ロシアの監督、ファビオ・カペッロ(イタリア人) 669万3750ポンド(11億5132万円)

2位 イングランドの監督、ロイ・ホジソン(英国人) 350万ポンド(6億2000万円)

3位 イタリアの監督、チェーザレ・プランデッリ(イタリア人) 257万5000ポンド(4億4548万円)

4位 ブラジルの監督、ルイス・フェリペ・スコラーリ(ブラジル人) 236万7500ポンド(4億721万円)

5位 スイスの監督、オットマ—・ヒッツフェルト(ドイツ人) 223万1250ポンド(3億8378万円)

6位 ドイツの監督、ヨアキム・レーブ(ドイツ人) 214万6250ポンド(3億6916万円)

7位 スペインの監督、ビセンテ・デル・ボスケ(スペイン人) 201万7500ポンド(3億4701万円)

8位 オランダの監督、ルイ・ファン・ハール(オランダ人) 163万1250ポンド(2億8058万円)

9位 日本の監督、アルベルト・ザッケローニ(イタリア人) 162万5000ポンド(2億7950万円)

10位 米国の監督、ユルゲン・クリンスマン(ドイツ人) 156万2500ポンド(2億6875万円)

では、監督を務める国の1人当たり年収と比較したトップ10はどうかといますと。

1位 アイボリー・コーストの監督、サブリ・ラムシ(フランス人) 61万8125ポンド(1億632万円)

年収別ランキング18位 1人当たり年収の795倍

2位 ロシアの監督、ファビオ・カペッロ(イタリア人) 669万3750ポンド(11億5132万円)

年収別ランキング1位、1人当たり年収の763倍

3位 ブラジルの監督、ルイス・フェリペ・スコラーリ(ブラジル人) 236万7500ポンド(4億721万円)

年収別ランキング4位、1人当たり年収の334倍

4位 カメルーンの監督、フォルカー・フィンケ(ドイツ人) 23万5000ポンド(4042万円)

年収別ランキング27位、1人当たり年収の322倍

5位 イランの監督、カルロス・ケイロス(ポルトガル人) 128万7500ポンド(2億2145万円)

年収別ランキング13位、1人当たり年収の293倍

こうしてみると、今大会は番狂わせが多かったとはいえ監督に大枚をはたいた国に予選リーグ敗退が目立ちました。

むしろブラジル大会とあって、年収が特別高くはない南米勢の活躍が目覚ましいですね。例えば決勝トーナメント1回戦でも勝利したコスタリカのホルヘ・ルイス・ピント監督(コロンビア人)は26万2500ポンド(4515万円)で、1人当たり年収の比較でも45倍と26位でした。何より最も割安だったのは、メキシコのミゲル・エレラ監督。1ヵ月半で4人も交代した背景からか12万5000ポンド(2150万円)と、年収別ランキング最下位だったんです。1人当たり年収でも21倍、29位でした。ベスト8を目前に敗退したとはいえ、パフォーマンス全開で世界中のサッカー・ファンをトリコにするおまけもあり十分な功績を挙げたといえるでしょう。

年収と成績に比例しないからといって、重責を担う監督には相応の見返りを用意すべきかと存じます。ザック前監督をはじめイタリアなど、イングランドを除き引責辞任の発表が相次ぐなか、各国などんな方針で後任を選出するのでしょうか。

(カバー写真 : Liverpool Echo)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年6月30日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。