都内の待機児童問題、保育所という「箱モノ」に拘わるべきか --- おときた 駿

アゴラ

先日、今年4月1日時点の都内の待機児童数が前年比555人増の8672人となり、過去最多を記録したことが発表されました。

都内待機児童数、過去最高 舛添知事、保育所整備促す新制度導入へ

「待機児童は重大な問題だ」
「子育て支援をとにかく充実させます!」

と、選挙の時には多くの政治家が主張するにも関わらず、依然として保育・子育ての問題解決の道は見えてきません。これには、大きく二つの要因が考えられます。

・政治家が、実は本気じゃない
・解決策の方向性が間違っている


前者は、都議会ヤジ問題なんかでもよくお分かりかと思います。選挙の時はみな、聞こえの良いことを言いますが、

「近頃の女性は、(自分勝手で)結婚したがらない」
「私たちの時代は、子育てなんて自分の力でしたものだ」
「女は子どもを産んだら家庭に入って、子育てをすればいい」

そんなことを内心で思っている政治家たちは、まだまだたくさんいます。というより正直、そっちのほうが多数派だと思います。この結果は、予算配分に如実に反映されてますね。

そしてもう一つは、解決策(政策)が間違っているということです。東京都は待機児童解消策として、民間事業者が保育所を建設する際の土地確保、賃料の優遇策などを提示していますが、相変わらず「保育所ありき」です。

日本の保育政策はその当初から、対象を「保育に欠ける子」として、理想的な施設(保育所)で児童を預かる方向性を堅持してきたわけですが、このモデルがすでに破たんをきたしていることは明らかです。

この点は以前にも詳しく指摘し、また政策レポートも発行させていただいておりますので、ぜひご参照ください。

コストとリスクと、責任まで負わされる日本の母親たち

都庁内に保育所!…もいいけど、抜本的な子育て支援策は?

そして複数の識者が指摘している通り、今現在は増えている待機児童でも、東京都では5年~10年のうちに子ども数がピークアウトし、膨大な数の保育所が不良債権化する可能性があります

今から保育所の建設にかかっても、事業者公募から始めれば年単位で時間がかかりますから、その点からも保育所の拡充の一手は目先の待機児童対策としても不適格です。

やはり、保育所という行政が大好きな「箱モノ」にこだわるのではなく、小規模保育やベビーシッターなど、機動的で多様な保育形態に政策をシフトし、予算を配分していくべきではないでしょうか

(写真はチラシに使用した、妹と姪)

「東京スマート保育」

によって小規模保育に関しては、その活用を全国に先駆けて開始した東京都ですが、この対象は2歳時までで3歳時以降の受け皿が整備されていないなど、早急に改善が必要な点は多々あります。

民間事業者による保育所建設の促進などは、それはそれでもちろん「やった方がいい」ことではありますけど、すぐにできる機動的な制度改善も同時に東京都に期待されています。

もちろんより一層の、十分な子育て支援への原資(予算)が確保されなければならないのは、言うまでもありません。

将来世代議員の一人として、今後も東京都の子育て政策については上記のような提案をしつこく続けて参ります。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は都議会議員、おときた駿氏のブログ2014年8月5日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださったおときた氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。