ぶっちゃけ「内閣改造」はなんのため? --- おときた 駿

アゴラ

昨日、第二次安倍改造内閣が発足いたしました。

第2次安倍改造内閣 閣僚名簿
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(画像引用元)

女性が最多タイの5名ということや、谷垣元総裁の幹事長起用などが話題になってますが、複数の方から

「そもそも、内閣改造ってなんのためにするの?」
(特に今回は、支持率も悪くないのに)

というごもっともな質問をいただきました。案外と今さら人に聞けないことですが、真っ当な疑問だと思います。


日本では過去20年の間に13名の総理大臣が誕生しており(平均1.5年)、戦後で見ても内閣総理大臣の平均在任期間はわずか2.2年です。

その内閣総理大臣たちが頻繁に「内閣改造」を行うのですから、その下にいる国務大臣たちの平均在任期間はさらに短くなり、なんと平均するとたったの10か月となります。

日本の官僚機構は、10か月毎に変わる上司の元で、国家百年の計となる様々な事業を行ってきたわけですね…。
(それだけ日本の官僚が優秀という証左でもありますが)

一般的に、内閣改造が行われる理由には大きく3つあると言われています。

1. 内閣総理大臣の求心力を高めるため
2. 国民・メディアへの刷新アピールで支持率を回復するため
3. 党内で大臣ポストを回していくため

まず、人事任命権は内閣総理大臣の持つもっとも強大な権力の一つです。直接選挙による大統領制ではなく、議院内閣制を取る日本では、総理大臣の権力基盤は極めてぜい弱であり、

「俺がその気になれば、こんな差配ができるんだぞ!」

ということを党内外に定期的に見せつけ、自身の求心力を維持しなければ、内閣は持続できないと言われています。
(身内から引きずり降ろされますから)

国会議員たちが喉から手が出るほど欲しい党三役や国務大臣のポストを、自分の味方に処遇する・あるいは敵対勢力を懐柔するために使うなど、アメとムチを駆使して内閣総理大臣は自分の足元を着々と固めていきます。

また対外的には、政策実現の遅れや景気停滞によって国民の目が厳しくなっているときに、刷新のイメージを与えることで支持率を回復し、内閣の基盤を整える効果が期待されます。

そして最後は…一番身もフタもない理由ですが、大臣のポスト待ちをしている大勢の自党議員たちにポジションを回していくため。極めてアホらしいことではありますけども、

「大臣病」

にかかった多選の国会議員たちを党内に留めておくためには、能力も適材適所もへったくれもなく、とにかく定期的に大臣のポストを割り当てて行かなければならないというわけです。

ここまで読まれてお気づきの通り、内閣改造に国のため、国民のためという理由はほとんど含まれておりません。

10か月でコロコロ変わるリーダーがいる組織(官僚機構)が、国民のためにベストなパフォーマンスができるでしょうか? 大臣が変わる度に起きる混乱は、もはや笑い話として流布されています。

問題は組織の中だけにとどまりません。最近、最年少夕張市長の著作を読んでいたのですが(面白いです!)、

「夕張を訪れる総務大臣に現状を丁寧に訴えているが、コロコロと変わるので意味がなく、嫌になってしまった」

というような記述がありました。国内でこんな有様ですから、国外の要人たちは日本の大臣を覚えることすら大変でしょう(実際、覚えてないらしいし)。

まあ期待される効果としては、

・一時的にアップした支持率で、政策が一気に進む(可能性がある)
・長期在任による不正や腐敗が起こることを防ぐ

なども想定されまして、まったく無意味というわけではないと思いますが、政策や組織の継続性から、やはり安易な内閣改造には疑問が大きいです。

とはいえ、日本が議院内閣制を採用し、一強多弱の政党制が敷かれている限り、この状態がすぐに変わることはありません。

私たち国民が、内閣改造により安易に支持を高めてしまうことなく、大臣たちに長期在任&長期ビジョンを期待することで、少しずつ改善を求めていくしかなさそうです。

まず第二次安倍改造内閣には、「実行実現内閣」の名に恥じぬ国民のためのパフォーマンスを期待したいと思います。

そしていま改めて閣僚の写真を見て思ったんですが、女性の配置がなんかアレで羨ましい感じですねっ!←

それでは、また明日。


編集部より:この記事は都議会議員、おときた駿氏のブログ2014年9月4日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださったおときた氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。