東大卒は、なぜチャンスを活かせないのか? --- 内藤 忍

アゴラ

スター・マイカを創業した東大卒起業家の水永政志氏が東大新聞のこんな記事でインタビューに答えています。ビジネスの世界を俯瞰(ふかん)した人にしか見えない、鋭い指摘だと思いました。


「オポチュニティコスト」とは、日本語では「機会費用」と訳されます。選択を求められる場面で、何かを選ぶことによって何かを捨てることになり、捨てたことによって逃した利益のことを指します。水永氏は「『東大卒』はオポチュニティコストが高過ぎる」と言っているのは、既に社会人としてそこそこの成功をしていると、それを振り切ってまで新たなリスクを取るインセンティブが発生しにくいことを示しています。せっかくのチャンスが巡って来ても、それを活かしきれないのです。

このような思考を変えるのは、「eye opener」(目を見開かせてくれるような機会)です。水永氏の場合は、米国留学で日本の大企業にいることの価値の低さを認識し、ゴールドマンサックスのプライベートバンクの顧客を見て、起業することの価値を知ったのです。

このような気づきを得るためには、視点を変えてくれる経験が必要です。海外留学や転職はすぐに誰でもマネができることではありませんが、海外から日本を眺めてみる、今まで付き合ったことの無い分野の人と交流してみる、経験したことのない新しい経験に積極的にチャレンジしてみる……。現状維持を否定するような「eye opener」を自分の中に積極的に取り入れていくことが重要です。

なぜなら、狭い世界にいると世の中の変化が見えなくなるからです。例えば、有名大学卒という学歴で優遇される時代は、もう終わっています。日本の学歴信仰は、あと数年もすれば、今よりもさらに消えていくことになるでしょう。日本の会社で仕事を真面目にやっているだけでは、鎖国社会にいるので変化が見えなくなってしまうのです。

水永氏が、東大生へのメッセージとしてあげられた3つのポイント。

1.リスクを過剰評価するな
2.東大を出たことのオポチュニティコストを過大評価するな
3.烏合の衆についていくな

これは、現役東大生でなくても、全ての人に役に立つアドバイスです。

つまり、やるべきことは
「脱・リスク回避」
「脱・現状維持」
「脱・横並び」
です。

3つの「脱」を実践することで、自分の未来は今からでも大きく変えることができると思います。

水永氏のインタビューは、仕事についてのアドバイスでしたが、これは資産運用でもまったく同じことが当てはまります。資産運用で3つの「脱」を実践したい方は、例えばスタディ・ツアーでそのきっかけを見つけてください。

※写真は7月に実施したカンボジアスタディ・ツアーで見学したアンコールワット。急階段というリスクの向こうに、素晴らしい景色がありました。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年9月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。