停戦に入ってもウクライナ情勢は依然不安定

アゴラ編集部

9月14日にロシアで国内の統一地方選挙が行われたんだが、3月に親露派が主導した住民投票でロシア領への編入を決めた「クリミア共和国」も例外ではなかったようです。ロシア側によれば、一部反対派がいたものの選挙は「順調に終わった」らしい。ウクライナ政府は一貫してクリミアの帰属について譲っておらず、今回の選挙も「茶番劇」と強く批判しています。

その一方でウクライナの議会は、親露派が実権を握っている東部ウクライナについて、一定の自治権を認める法案の採択に動いています。ロシアの圧力に屈した形になるんだが、現在、政府軍と親露派が停戦しているように、ウクライナ国民は長引く「内戦」に辟易し、国内の民意も現政権から離反し始めているようです。


クリミアにせよ東部ウクライナにせよ、もともとの住民をソ連時代に移住させ、あるいは飢餓を放置してウクライナ人を減らし、その後、空いた土地へロシア人を植民させたわけで、ロシア系、親露派が住民の数で多数派なのは当然です。しかし、すでに民族構成は固定化して長い時間が経ち、ロシアの影響が無視できない状態にさせられてしまっている。

ドイツはたびたびウクライナの豊かな穀倉地帯に食指を伸ばそうとしてきたんだが、現在のウクライナ政府の基盤も欧米の支援です。しかし、資源も工業地帯もないウクライナ西部に欧米はあまり魅力を感じていないらしい。東部ウクライナを手放してしまえば、政権の崩壊につながりかねない。東部ウクライナの自治へ動いたウクライナ議会は、16日にEUとの貿易協定を批准し、親露派からは反発が起きている。長くタタールならぬ「ロシアの頸木」に虐げられたきたウクライナ国民。このままプーチン大統領の意のままにさせておくんでしょうか。

NATO
NATO Secretary General on the reported elections in Crimea, Ukraine


What Macau’s “election” says about the future of Hong Kong
QUARTZ
8月31日に中国の特別行政区マカオで行政長官の選挙が行われました。立候補者は1名のみ。現職の崔世安(フェルナンド・チョイ)長官が再選を果たしたわけです。この選挙、同じく行政長官選挙の方法で揉めている香港と同様、財界などの代表者からなる選挙管理委員会による間接選挙です。無理やり「無風選挙」にした感のある今回のマカオ行政長官選挙。マカオの市民には不満が高まっているようで、無効票や白票も多かったらしい。5月には2万人以上の市民が街頭デモを敢行し、生活費の高騰などを批判。ギャンブルの街であるマカオで働くカジノのディーラーたちも待遇改善を求めて抗議活動を展開しているようです。マカオの行政長官選挙、2017年に行われる香港の選挙に影響を及ぼすんでしょうか。

Here’s How The Map Of Europe Would Be Redrawn If All The Separatist Movements Get Their Way
BUSINESS INSIDER
イングランドからのスコットランド独立の住民投票が、明日18日に行われます。結果がどうなるか予断を許さない状況が続いているようなんだが、この記事ではヨーロッパの分離独立運動を紹介。カタルーニャとバスク、ヴェネトなど国内が四分五裂のスペインを筆頭に、サルディニア島を抱えるイタリア、フランダースの分離独立のあるベルギーなど、今回の投票の結果が大きく影響する国は多い。近い将来、ヨーロッパの地図が大きく描き変えられるかもしれません。

European Free Alliance

Plate Tectonics ‘Discovered on Jupiter’s Icy Moon Europa Sitting Above Warm Ocean’
INTERNATIONAL BUSINESS TIMES
ガリレオ・ガリレイが発見した木星の第2衛星であるエウロパ(Europa)は、氷の衛星といわれている通り、表面は3000メートル以上も凍りついているようです。しかし、木星の強い引力で潮汐力が働き、それが摩擦熱を生んで氷がところどころで溶けている。また、地熱があるとされ、さらに地球外生命体の存在も議論されています。この記事では、エウロパにも地球のようなプレートテクトニクスがあるんじゃないか、という説を紹介。1989年から2003年までの間の表面を調べた結果、地質学的なパズル状の構造が見られたらしい。また、地熱などで温められた氷が海のようになり、その上に氷のプレートが乗っかっているのでは、という説もあるようで、以前から計画されては頓挫してきたエウロパ探査がこうした説で後押しされるのかもしれません。

木星の衛星であるエウロパ via NASA

Match.com conmen: two men found guilty of dating website scam
the guardian
英国の出会い系サイトで、二人の男が共謀して詐欺を働いた、という記事なんだが、マネーロンダリング、というのがどうもよくわかりません。どうも被害者の女性を裁判沙汰に引き込んで、法定費用を巻き上げようとしたらしい。犯人は、インドの資産家の息子で「魅力的な中年男性」を演じていたんだそうです。洋の東西を問わず、こういうのに引っかかる人は後を絶ちません。


アゴラ編集部:石田 雅彦