一昨日に秋の定例会がスタートし、初日は恒例の「知事所信表明」が読み上げられました。
(写真は知事の部屋より)
演説内容の全文は下記からご覧いただけます。
オリンピック・パラリンピック計画の見直しや、ヘイトスピーチに関する見解などがいくつかニュースになりましたが、あまり取り上げられなかった点で興味深い部分をご紹介。
ビジョンの財政的な裏付けとなります平成27年度予算は、積極予算を編成したいと思います。しかし、漫然と前のやり方を踏襲し、時代にそぐわない施策を放置したままでは、財政が硬直化して、都民の新しいニーズに応えることは困難となります。
そこで、各局が自ら施策の見直しを行った場合、削減額の2倍まで新規の予算要求を認めることで、インセンティブを働かせる仕組みを導入いたしました。
これはなかなか画期的な試みだと思います。税収が比較的豊かな東京都とはいえ、その財源は有限です。
「シーリング」といって予算編成には上限が設けられ、新しい政策をやろうにも従来の枠組みを超えることは認められない…。というのが、東京に限らず全国の自治体でも一般的な状況です。
しかし今回、「政策的予算」と呼ばれる分野では、どこかの削減に成功すれば、その倍額まで新規の予算要求ができるということですから、まさしく見直しや無駄排除の「インセンティブ」が働きます。
ただ、あくまで「予算要求」が認められるだけなので、最後の知事判断で却下される可能性もあります。
そうすると、削減した分だけバカを見る可能性もありますので、この制度がワークするかどうかは初年度の運用が肝心になるでしょう。
この制度の詳細は、財務局のHPからご確認いただけます↓
【シーリングの見直し】
・「東京都長期ビジョン(仮称)」の事業案に係る経費は、シーリングの枠外
・施策の見直しを行った場合、削減額の2倍まで要求することができる
・その他の事業は、原則としてゼロシーリングを継続
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2014/07/70o7t100.htm
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ところで、こうした「削減に関するインセンティブ」は、ぜひ決算にも仕組みとして取り入れてほしいと強く思います。
民間企業では、経費を節約して予算を余らせれば褒められることもありますが(そうじゃない場合もあるけど)、ご存じの通り、行政は予算の「使い切り」を重視する傾向にあります。
予算と執行額の差額は「不用額」と呼ばれ、これは決算委員会で議員から突っ込みを受ける最大のポイントです。
「なぜ、予算がこれほど余ってしまったのか」
「無計画ではなかったのか」
などなど…なので、議員もあまり良くないんですよね。たしかに立案段階で無計画だった可能性もあるとは思いますが、これでは「節約」へのインセンティブは皆無になります。
自治体によっては「使い切り」の悪しき慣習を断ち切るため、こうした「不用額」を次年度に持ち越せる仕組みを採用しているところもあります。そしてまず、名称から改めた方がいいような気もしますね。
東京都には現在、こうした仕組みがありませんが、予算における積極策を採用した舛添都知事には、ぜひ決算でも新しいインセンティブの導入を期待&提言したいところです。
良い週末をお過ごしください。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は都議会議員、おときた駿氏のブログ2014年9月19日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださったおときた氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。