超人のオリンピック・パラリンピック。それは、やってみたい。 --- 中村 伊知哉

アゴラ

ロンドンパラリンピック走り幅跳び金メダリスト、マルクス・レーム選手が7月の陸上ドイツ選手権で8m24cmの世界記録をたたき出し優勝を飾りました。しかし、チューリヒで開催される欧州選手権代表から漏れました。義足が跳躍力を上げたのではということで、ドイツ陸連が派遣を認めなかったというのです。

健常者に身障者が勝つ。そんな日がとうとう来ました。ワクワクしつつもハラハラします。

2020年の東京では、パラリンピックがオリンピックを上回る成績が連発される。義手義足補助具つきのほうが超人的な競技大会となる。それは認められるのでしょうか。健常者の水着でさえ、厳しい規制が導入されていますが、補助具は水着規制をはるかに超える重大な議論を巻き起こすでしょう。


ハイテクが投入されるほど超人度が増す。超高性能のゴーグルをつけ、遠目の的を見据えて、距離、風速、風向きと軌道が正確に計算された結果が、背中と腕に装着した補助具に送られ、きりきりと腕を引っ張り上げ、ここだという位置とタイミングにGo!が出るので、こんなぼくでもアーチェリーの世界チャンピオンに勝てるのです。

それは、やってみたい。

となれば、F1的な資本力の戦いともなりますね。そのビジネス性はいかに。それはそれで楽しみです。

でも、そんなことは、規制されてしまうんでしょうか。

身障者が補助具で超人になるのなら、健常者は妬みますかね。超人になるために、健常者が腕を、脚を、肉体を切り落とす日は来るでしょうかね。それは禁止されるのでしょうか。あるいは、いずれ奨励されるのでしょうか。宗教上の理由で国によりばらつきが出るのでしょうか。規範の緩い日本はサイボーグ大国となるのでしょうか。

などと言いつつ、健常者・身障者問わず器具をフルに使って競う超人オリンピックを成功させたいのです。

超人オリンピックの設計は、テクノロジーと、デザインと、マネジメントと、ポリシーの融合となります。大学の出番かな~、と考えています。

とりあえずSuper Human Olympics. これ進めていきます。よろしく。
 http://superhuman-olympic.org/

ところで、TeamLab猪子寿之さんが竹芝CiPの勉強会「SALON CiP」で五輪のリアル競技映像を都市に展開する構想を見せてくれました。棒高跳び映像がビルにプロジェクションマッピングされ、選手が2Fのスタバに飛び込んでスゲーとか。100m走金メダリストと一緒に走るサイネージ・アトラクションなんかもできそう。全競技のデータ・映像を使って、五輪後もあちこちで再現・活用できるといいですね。

それは、やってみたい。

猪子さん、五輪開会式を分散・参加型にしたらいいとも発言していました。賛成です。

新国立競技場の式典はリアルだと数万人しか入れません。それを世界60億人が映像で見る。それよりもっと多くの人びとがあちこちの町で参加しながら作る開会式。

場を東京に閉じるとしても、渋谷浅草秋葉原あちこちでアート・イベントを催して、次々と中継していく。実物大ガンダムや数万体の自動走行ロボットにも繰り出してもらいたいです。さらに、東京湾をドカンと使いたい。海面を巨大スクリーンにして。

それは、やってみたい。

放っとくと、また劇団四季的な開会式になりそうですからね。

今からアイディアぶつけときましょうよ。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2014年9月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。