アリババ、29日のオプション取引開始前に知っておきたいこと --- 安田 佐和子

アゴラ

史上最大の新規株式公開(IPO)を華々しく飾ったアリババは、29日にオプション取引を開始します。幹事団が追加割当権(グリーンシュー)を行使したため、約250億ドルもの資金調達に成功。上場開始日の出来高は2億7000万枚を超え、以降の平均出来高も4000万枚とニューヨーク証券取引所に上場されるトップ銘柄に匹敵するとあって、オプション・ト レーダーが指摘するように非常に強い需要が予想されます。


ただCNBCによると、過度な期待は禁物。株価が依然として90ドル周辺にあり値幅が大きい点を踏まえると、オプションのプレミアムもうなぎのぼりとなる可能性があるためです。 従って、フェイスブックが 2012年5月29日のオプション取引開始日に過去最高を記録した36万5000枚を下回ると考えられ、オプション取引オンライン・ブローカーのオプションキングは取引開始日の出来高につき「フェイスブックの25%」を予想していました。

インプライド・ボラティリティも、高水準となる見通しです。キャピタル・マーケット・ラボラトリーズは「しばらくの間、アマゾンの27%を超えてくるだろう」と読んでいます。そうなると価格差も広がりますよね?例えば足元、アップルの3ヵ月物インプライド・ボラティリティが23%のところコールは5.16ドル、プットは4.65ドルで取引されていました。これが3ヵ月物インプライド・ボラティリティが40%にもなるトリップ・アドバイザーズだとコールは10.60ドル、プットは6.30ドルにまで広がります。

アリババの下落にも、要注意。IPO直後で借株がままならないショートのプレーヤーに、オプションを通じた売り仕掛けの手段を与えるためです。上場初日に38%も急伸した後で5%落ち込んでいますし、オプション取引開始での影響を認識しておいた方が無難でしょう。

(カバー写真 : AP)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年9月26日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。