『一神教と人間』
バビロン捕囚の苦難の中、世界に唯一の神を仮構したユダヤ教徒、律法主義を批判しながら福音書の権威に頼ったキリスト教徒、礼拝方向をエルサレムの方角からメッカの方角へと変更し、当初は益もあるとしていた酒の全面禁止へと転じたイスラーム教徒。中東発祥の同根の一神教でありながら、むしろ違いが強調され、広汎な共通点があまり注目されることのなかったユダヤ教、キリスト教、イスラーム。
崇拝の対象は唯一の神でなければならないにもかかわらず、なぜマリアは崇敬されるのか。なぜイスラームはその過激性が強調されるのか。
信仰の裏に潜む優れて人間的な情念を、聖典の成立からその解釈へと至る過程を比較することによって浮き彫りにした一神教の政治学。
目次
本書の目的
第一部 イスラームは特別なのか
第一章 イスラームはテロの温床なのか
第二章 イスラームは民主主義と相容れないのか
第三章 環境適応への営為として
第二部 人間行動としての一神教
第四章 一神教とはなにか
第五章 ユダヤ・キリスト教聖書からクルアーンへ
第六章 啓示内容の変化と状況対応
第七章 最後の一神教の行方
あとがき
主要参考文献
索引
注
立花亨(たちばな とおる)
拓殖大学政経学部教授・学部長。財団法人中東経済研究所研究主幹、財団法人日本エネルギー経済研究所中東研究センター研究理事等を経て現職。専門は微視政治学、比較宗教社会学。
アカシックライブラリー
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