「河野発言」を取り消すべきだ

池田 信夫

超こまかい話だが、国会の争点になると思うので書いておく。毎日新聞によると、菅義偉官房長官はきょうの国会で、1993年の河野談話のときの記者会見で「強制連行の事実があったという認識か」という質問に対して、河野氏が「そういう事実があったと。結構です」と発言したことが「大きな問題だと考えている」と答弁した。


これはきのうの番組で、田原さんと私の意見が一致した点である。外務省は河野談話で「強制」という言葉も使わず、「強圧」とか「加担」とかいう言葉で玉虫色に書いていたが、河野氏がこれを会見でぶち壊してしまったのだ。

菅氏は強制連行について「私どもはそこは否定し、日本の名誉、信頼を回復すべきだと訴えている」と強調する一方で、河野談話そのものについては「継承し見直しはしない」という方針を明らかにしたという。国会に河野氏を呼んで、発言の取り消しを求めるべきだ。彼が「強制連行」を撤回すれば、河野談話の本文は問題ない。

これと並行して朝日新聞が、今のような「旧植民地では文書が見つかっていない」といった曖昧な表現ではなく、「強制連行の証拠はない」と明確に否定し、それを世界にくり返し――世界27ヶ国の慰安婦決議がすべて取り消されるまで――伝える必要がある。この意味で、朝日の責任は政府以上に重い。