「何をやるか」より「どこにいるか」がはるかに大事 --- 内藤 忍

アゴラ

先週から、カンボジア、タイ、フィリピンと3週間連続のスタディ・ツアーで、海外不動産の視察をしています。昨晩からは、タイのバンコクに来ています。写真は、ツアー参加者と一緒に食べた「カニカレー」です。カニの濃厚なエキスと、カレーのスパイシーな香り。止まらない味です。

4年近く前から、海外不動産投資を自分自身で始めましたが、当時のドル円為替レートは、1ドル=80円台でした。10月31日には、それが112円まで円下落。1ドルのモノを買うのに80円で買えたのが、112円になった訳ですから、40%の値上がりと同じです。


海外不動産に限らず、外貨での資産運用に関しては、「何をやるか」も大切ですが、「どこにいるか」の方がはるかに重要です。

4年前に海外不動産を買おうと思った時、アメリカにするか、マレーシアにするか。ネバダ州にするかフロリダ州にするか。「何をやるか」について、あれこれ頭を悩ませ、結局フロリダのネイプルズという保養地にコンドミニアムを購入しました。それから、ずっと現地の管理会社に管理を任せ、まったくの「放置プレイ」ですが、為替差益と現地不動産価格の上昇で、円ベースの物件価格は2倍近くになっています。

振り返ってみると、結果に大きな影響を与えたのは、どこのエリアに投資するか、あるいはどの物件を購入するかといった「何をやるか」ではなく、資産の一部を海外に置いておくという「どこにいるか」なのです。フロリダではなく、マレーシアやネバダに物件を購入していても、結果はほとんど同じだったはずです。

投資のリターンを上げようと、「何をやるか」をあれこれ考えて行動している人がいます。例えば、為替の取引であれば、ドルを買ったり、売ったりを繰り返し、収益を上げようとする人たちです。

しかし、後から振り返れば、売買を小刻みに繰り返すより、外貨資産を一定比率保有して、そのまま置いておいた方が、余計な神経を擦り減らす必要もなく、大きなトレンドの恩恵を受けて資産を守り、増やすことができたのです。

「何をやるか」は、自分の努力の反映ですが、「どこにいるか」は、世の中の流れに自分の身を任せることです。

自分の能力でできることは限られています。むしろ、世の中のトレンドや社会の変化によって、決められてしまう運命や結果の方が圧倒的に大きいのだと思います。これは、資産運用に限りません。

努力することも大切ですが、「どこにいるか」を同時に考えないと、無駄な努力になってしまいます。

風が吹いていないところでは、ピカピカの船が帆を立てても動きません。でも、風が吹いているところに船を持っていけば、例えそれがボロ船であっても、それなりに前に進むのです。

あなたの仕事、お金は「風の吹いているところ」に置いてありますか?

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年11月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。