アフガンの最新「アヘン事情」 --- 長谷川 良

アゴラ

ウィーンに本部を置く国連薬物犯罪事務所(UNODC)のフェドートフ事務局長は11月12日、アフガニスタンの「2014年アヘン調査」(Opium Survey 2014)を発表した。それによると、2014年のアヘン栽培面積は推定22万4000ヘクタールで、前年比(20万9000ヘクタール)で7%増加し、過去最高を記録した。アヘン生産量は5500トンから推定6400トンと17%急増。増加の主因は南部地域での生産急増による。


▲アフガニスタンの「2014年アヘン調査」の概要


アフガニスタンのアヘン栽培は地域によって大きく異なる。同国最大栽培地域は南部で、その中でもヘルマンド州(Hilmand)が全生産量の46%を生産する(西部地域は16%)。それについでカンダハール州(Kandahar)、ファラー州(Farah)、そしてナンガルハール州(Nangarhar)と続く。


▲州別のアヘン栽培状況(UNODCの「2014年アヘン調査」から)

一方、ケシ栽培を撲滅したケシ・フリー地域は34州の中で15州と昨年と変わらない。19州で依然ケシ栽培が実施されている。ただし、バルフ州(Balkh)が新たにフリー地帯入りしたが、サーレポル州(Sari Pul)は栽培地域に戻った。ちなみに、今年ケシ栽培が撲滅された面積は2692ヘクタールで2013年の7348ヘクタールより大幅に減少した。

一ヘクタール当たりアヘン生産高は平均28・7キロで、前年の26・3キロより約9%多い。特に、同国最大のケシ栽培地域の南部では昨年の23・2キロから1ヘクタール29・5キロと生産高を増やしている。なお、アヘン価格は下落してきた、その主因は生産過剰による供給増加が考えられる。

アフガニスタンは世界の不法アヘンの約90%を生産している。その収入の一部が反政府勢力タリバンに流れているとみられ、UNODC報告書は「アフガニスタンの政治安定に深刻な脅威をもたらしている」と警告しているほどだ。

UNODCのフェドートフ事務局長は「アフガンの麻薬問題は国際社会が直面しているグローバルな挑戦だ。アフガニスタンで政治指導者が変わったばかりだ。新政権と連携して今後もアヘン栽培の摘発、壊滅、アヘンに代る代替栽培の促進などを進めていきたい」と述べている。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年11月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。