この解散を期にそろそろ原発と向き合ってもいいんじゃなかろうかと --- 宇佐美 典也

アゴラ

どうやら安倍首相が解散を決めたようなので、少しばかり選挙の争点について思うことを書いておくことにしました。

まず今回の解散に大義があるとかないとかそんなことはどうでも良いと思っていまして、それを判断するのは首相の専権事項で、首相が「大義がある」といったらそれまでの話なのではないでしょうか。それに異を唱えて「大義が無い」と言ったところで何の意味も無い話ですし、ましてや野党は普段から政権を批判しているのだから、腐るほど「大義」なるものが無ければおかしいんじゃないかと思います。「600億円かけて問う大義は?」なんて言っている人がいるけれど、それは600億円程度の争点すら作れない政治家の問題なんじゃなかろうか。


という前置きは置いといて、私としてはこの選挙を機にそろそろエネルギー政策を大きく見直していく必要があるのではないかと感じています。現状のエネルギー政策というのは幸か不幸か菅直人政権の時に決められた方針を踏襲しています。菅直人氏がどのようなことを考えていたのか、ということは国会答弁を見ると透けて見えまして、こんな感じです。

【h23.5.31 衆議院 東日本大震災復興特別委員会】
現在のエネルギー基本計画で、2030年までに再生可能エネルギー、いわゆる自然エネルギーの割合を20%にするということが従来出されております。その内訳の中で見ますと、最初は石油換算になっておりますが、電力換算で申し上げますと、5300万キロワットを太陽光発電で発電するとされていて、そのうち7割を住宅に設置するパネルで3キロから4キロ程度の発電とすると、大体それが賄えるという数字になるということであります。
 私が今回、サミットあるいはOECDで申し上げましたのは、この2030年の現行のエネルギー基本計画は、これは白紙から見直さなければならないということは申し上げましたが、その中で、2020年代のできるだけ早い時期に、従来は三〇年の目標とされていたこの再生可能エネルギー20%というのを、2020年代のできるだけ早いところで実現を目指していきたいということを申し上げ、その数字の根拠は、2030年のときの同じ20%の根拠の数字から算出をいただいた。

端的に言えば本来2030年頃に達成するはずだった「自然エネルギーの割合を20%にする」という再生可能エネルギーの導入目標を、技術革新のペースや普及速度の細かい議論を全て無視して、とにかく勢いで「10年前倒しして2020年頃までに自然エネルギーの20%目標を達成できるようにする」というものです。これはやっぱり無茶だったので、今になって、電気料金が2割あがったり、燃料輸入が3.6兆円増えたり(為替の影響もあるが)、CO2排出量が爆発的に増えたりと色々と歪みが出ています。特に電気料金の上昇は中小企業にとってはしゃれにならない負担でしょう。


経産省資料より)

自民党政権に代わって出された2014年のエネルギー基本計画でもいまいち歯切れが悪く、「2020年に自然エネルギーの割合20%」という目標は事実上撤回されたものの、代わりとなる電源構成に関しては導入目標を決めること無く「2015年春ごろまでに議論して決める」と決断を先送りしています。とはいえ一方で原発の新規制基準が決まり、各電力会社が1000万Kw以上の原発の再稼働に向け適合確認申請を提出しているわけで、あまりほったらかしているわけにも行きません。


環境省資料より)

更に言えば国際的にもポスト京都議定書の枠組み構築に向けた議論が本格化するわけで、これにむけて米中が地ならしをする動きも見せており、現状温暖化の国際的な枠組みから外れている日本も「知らん顔」とはいかなくなって来ています。

そんなわけでそろそろ「菅直人の宿痾」というものから抜け出して、原発というものの我が国のエネルギー政策に置ける位置づけを正面切って議論しなければならない、そんなタイミングが来ていると思います。そこが固まってこそ、再エネの振興も省エネの推進もメタンハイドレートの開発も地に足がついた議論になると思います。少なくともそれを議論し国民に問うのは600億円以上のメリットはあると思います。なんでも仕分ければ良いってもんでもないんじゃないでしょうか。

ではでは今回はこの辺で。


編集部より:このブログは「宇佐美典也のブログ」2014年11月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は宇佐美典也のブログをご覧ください。