米10月耐久財受注は前月比0.4%増となり、市場予想の0.6%減を大幅に上回った。前月の0.9%減(1.3%減)から、サプライズの増加に転じている。特に変動の大きい輸送用機器が3.4%増と3ヵ月ぶりに反発。民間航空機こそ0.1%減と前月の16.0%減を含め小幅ながら3ヵ月連続で減少したものの、自動車が0.3%増と前月の減少分を打ち消していた。
輸送機器のほか、防衛財も11.2%増と前月の8.2%増を超え3ヵ月連続で増加しヘッドラインに寄与。もっとも、輸送機器を除いた場合は0.9%減と、市場予想の0.5%増からマイナスへ転落している。前月の0.2%減に続き、2ヵ月連続で減少した。コア資本財(企業の設備投資を示す航空機を除いた非防衛財)は1.3%減と、市場予想の1.0%増より格段に弱い。過去7ヵ月間で5回目の減少を迎えている。電子機器が3.1%減、一次金属も2.4%減とそろって3ヵ月ぶりにマイナスに落ち込んだ。機械は1.2%減と、2ヵ月連続で減少。組み立て金属は0.2%減と、過去4ヵ月で3回目の減少を示す。コンピューター・電気機器のみ0.1%増と、前月から小幅反発した。
耐久財出荷は前月比0.1%増と、前月の0.3%増と合わせ2ヵ月連続で増加した。ただし国内総生産(GDP)に反映されるコア資本財は0.4%減と、市場予想の0.5%増に遠く及ばず。前月の0.4%増(0.2%減から上方修正)からマイナスに転じ、6ヵ月ぶりの減少となった。耐久財在庫は前月に続き0.5%増となり、17ヵ月連続で増加した。在庫相当は在庫の伸びが出荷を上回ったため、前月の1.64ヵ月から1.65ヵ月へ延びた。
モルガン・スタンレーのテッド・ウィーズマン米エコノミストは、今回の結果を受け「コア資本財の出荷と在庫がそろって予想外に減少していたため10-12月期の設備投資(GDPでの機器投資)は2.3%増、企業投資(民間・非住宅投資)は3.2%増となる見通しで、7-9月期の10.8%増、7.1%増からそれぞれ減速する」と予想。さえない米10月個人消費・所得も重なり、米10-12月期GDPは「従来の1.7%増から1.4%増」へ下方修正した。
JPモルガンも、「企業の設備投資が4期連続で6%を上回るとの当方予想にダウンサイド・リスクが出て来た」と指摘。ただし12月5日発表の米10月貿易収支を見極めるべく、米10-12月期GDP予想は2.5%増で据え置いた。
——以上、米7-9月期GDP改定値で指摘されたように、米10月耐久財受注は好結果の反動で設備投資減速が軋みをみせました。ドル高という向かい風に加え、原油安もあってシェアの大きい石油関連企業の設備投資も減速方向にあります。4-9月期に2003年以来の高成長を達成したのも、夢の後。冬期を迎え、あらためて経済拡大ペースは鈍化すること必至です。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年11月26日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。