テレビ番組にムカついたら、テレビ局ではなく国に文句を言おう! --- 渡辺 龍太

アゴラ

こんにちは!フリーニュースディレクターの渡辺龍太です。

今日、放送されたワイドナショーの松本人志さんの発言が印象的でした。

松本人志と土田晃之が語る”テレビと苦情”「細かいこと拾うのやめようよ」 | マイナビニュース


松本さんは番組で、ジャポニカ学習帳に昆虫の画像が気持ち悪いというクレームが来たからと、表紙に昆虫の画像が使われなくなった事からテレビ界全体に次のようにコメントしました。

「(ジャポニカ学習帳の昆虫に気持ち悪いという)こういう声にいちいち反応してほしくない」

「”気持ち悪い”でなくなっちゃうと、もうわれわれテレビに出られないですよ」

「細かいこと、本当にいちいち拾うのやめようよ。ね? もう、いいわ。そんなことでいちいちいちいち」

「もうイヤ! 面白くない」

日本人はクレーマー体質の人が非常に多いです。日本社会では、本当の法律違反があったというような内容のクレームじゃなく、単なるクレーマー体質の人のボヤキの様な事を、松本さんの言うように『細かい事をいちいち拾う』という事が日常茶飯事です。

そんな風に、一部のクレーマー体質の人間の言いなりになっていては、企業活動が制約されてしまいます。自由に活動出来る海外の企業と、クレーマーの圧力にさらされている日本企業の間には、大きなハンデが生じていると言ってもいいかもしれません。

では、何で日本人は欧米人などと比べて、些細な事へのクレーマー体質の人が多く、さらに、無視しないで彼らの発言を拾ってしまう人が多いのでしょうか。それは、日本人は他者と接するとき、『上下関係』を重要視するからではないかと思います。また、日本人の考える上下関係というのは、上の立場の人が下の立場の人に対してやりたい放題が結構容認されます。

例えば、テレビ局にとって、視聴者は客であり上下関係でいう所の上だという意識がテレビ局にも、クレーマーにもあるのでしょう。それゆえ、テレビ局自体もクレーマーの話を聞かなければならないと思っています。さらに、クレーマーも自分がテレビ局に無視されるはずがないと思っているはずです。

なので、チャンネルを変えるなりテレビを消せば、何の被害も無い『見たくない番組』が放送されたという事に激怒する視聴者の意見に、過剰とも言える位にパワーが集まってしまうのだと思います。

この様に書くと、テレビの放送は『公共の電波』だから、テレビ局にクレームを入れるのは当然と言う人もいるでしょう。しかし、現状のテレビ局へのクレームというのは、著しくテレビ局の表現の自由を制限しようとする危険な行為です。なので、別の方法をお勧めしたいです。

その方法とは、国に文句を言う事です。テレビ局に些細な事で文句を言う人は、テレビは公共の電波を使用し、自分の払った税金で運営されているからクレームを入れる権利があるという理屈なのだと思います。

なので、もしテレビ放送に自分のお金が投入されないのなら、見たくない番組が放送されようが視聴者には関係のない話となります。言ってみれば、自分の見たくないホームページがウェブ上に存在しているのと同じような事です。

なので、テレビ局の放送内容が気に要らない場合は、国に電波を民営化すべきだとか、レイティングシステムをきちっと導入して内容を国がしっかり管理すべきと訴えれば良いのではないでしょうか。声が大きいというだけで、少数派の極端な意見にばかり耳を傾ける社会は、不健全すぎるので何とか改めてもらいたいものです。でも、残念ながら、テレビ局という上下関係の下の立場に文句を言う人は、国という巨大な上な立場に向かって本格的な社会運動を仕掛ける人は少ないのかもしれませんね。

渡辺 龍太
WORLD REVIEW編集長
主にジャーナリスト・ラジオMCなどを行なっている
著書「思わず人に言いたくなる伝染病の話(長崎出版)」
連絡先:ryota7974アットマークgmail.com
Twitter @wr_ryota
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編集部より:この記事は渡辺龍太氏のブログ「ネットメディアプロデューサー 渡辺龍太のブログ」2014年12月7日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はネットメディアプロデューサー 渡辺龍太のブログをご覧ください。