アメリカに日本化の波が吹き荒れ、労働市場は改善しながらも賃金は凪状態。それでも住宅価格は無情にも上昇をたどっており、日本でマイホームをもつ夢が手のひらから消えつつあるように、アメリカン・ドリームの象徴である住宅購入も都市部を中心に年々難しくなっています。
HSH.comが全米リアルター協会(NAR)の住宅価格・中央値を元に算出した都市別、住宅が買える年収調査では、厳しい現実を突きつけていました。
ニューヨーク市でマイホームを購入できる年収をみてみましょう。頭金、住宅ローンはもちろん金利、保険支払いを含めて住宅価格・中央値を賄える年収は、7-9月期ベースで9万2271ドル(約1100万円)でした。2013年の年収・中央値である2013年5万2250ドル(約627万円)を軽く超え、某金融機関付けファイナンシャル・アナリストの年収8万ドル(約960万円)も抜いていく水準です。
ニューヨーク市の住宅価格・中央値は、前年比1.01%上昇の41万800ドル(約4930万円)でした。ただこの数字、個人的には別の調査と比較しても非常に低く見積もられているような気がしてなりません。月ごとの住宅ローン支払い額は、2153ドル(約25万8360円)となっています。
マンハッタンの23丁目、チェルシー周辺なら1ベッドルーム(1LDK)で87万5000ドル。
(出所:Trulia)
上には上があり、映画の都ハリウッドを構えるカリフォルニア州ロサンゼルスだと年収は9万6517ドル(約1158万2040円)が必要となります。住宅価格・中央値は48万1900ドル(約5780万円)。月ごとの住宅ローン支払い額は2252ドル(約27万円)でした。
シリコン・バレーを抱えるカリフォルニア州サンフランシスコになれば年収は格段に上がり、14万5361ドル(約1744万円)といいますから恐ろしい。さすがIT業界の長者がひしめくだけあって、住宅価格・中央値は74万4400ドル(約8930万円)に及びます。30年物の住宅ローンを4.20%で組んだ場合、月ごとの住宅ローン支払い額は3392ドル(約40万7000円)でございました。
これがワシントン州シアトルになると年収は7万5098ドル(約901万円)、フロリダ州マイアミでは6万176ドル(約722万円)まで下がります。マイホームを夢見るなら、現実的に都市を選ぶ時代になったというわけですね。
(カバー写真:World Property Journal)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年12月9日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。