少数政党だらけの日本が、ドイツ式の選挙を行ったら --- 渡辺 龍太

アゴラ

こんにちは! フリーニュースディレクターの渡辺龍太です。

選挙が始まりました。今回も、小規模政党が乱立しています。そういう少数の議員しかいない政党って、一体、どんな存在価値があるのでしょうか。そういう小さい政党が国会で与党などにいちいち噛み付いて、日本の政治のスピードが遅くなってしまいて害の方が多いように私には思えます。


特に、そういう少数政党の政治家が、自分の党の意見が国会で通らないからと『国民の声を無視するのか!』と声を荒げる事などに非常に強い違和感を覚えます。なぜなら、それって非常に論理的に矛盾がある気がするからです。

少数政党に対する国民の声というのは、『国民から支持されていない』の一言に尽きるのではないでしょうか。そういう国民の支持を集められなかった政党が、支持を集められた政党に対していちいちゴネるのを許していては、日本の政治が何も決められないのも当然のように思えます。はっきり言って、多数決で物事をスムーズに決めるための選挙を行った、その意味すら無くしているように見えます。

とはいえ、日本には論理的に矛盾がありそうでも、なんとなくデカイ声で何かを主張している人の話は聞いてあげないとイケナイという雰囲気があります。しかし、海外に目を向けると、事情は全く異なります。

海外には『国民から支持されていない』という事が明確になった小さい政党の声を、あえて国政に反映出来ないような仕組みで選挙を行って国があるんです。例として、ドイツの仕組みを見てみましょう。

連邦議会での選挙では、ある一定の得票率(5%)あるいは小選挙区での議席を得られないと連邦議会に議席が持てない仕組みを導入し、ヴァイマル共和国時代に見られた小政党乱立と極右・極左勢力の議席獲得を阻止している。 
(引用元 ドイツの政治 – Wikipedia

ドイツが避けようとしている小政党乱立と極右・極左勢力の議席獲得なんて、日本では日常茶飯事ですね。

それにしても、5%の得票率を得る必要があるというのは、日本の少数政党にとっては大きなハードルの高さです。前回の比例代表選挙の得票率で見ると、社民党、生活の党、新党大地などは5%以下の得票率しか得ていません。つまり、ドイツの選挙方式では、それらの政党の議席はゼロなのです。

よく、日本人は『決められない政治』だとか、『政治のスピードが遅い』と政治家たちを非難します。しかし、そうなってしまう原因は政治家の質というより、あまりにも国民の声を集められていない意見を国会で重視しすぎている選挙のシステムにあるのではないでしょうか。議員の定数削減や報酬の問題以上に、これが非常に日本にとっては根深い問題なのではないかと思いました。

渡辺 龍太
WORLD REVIEW編集長
主にジャーナリスト・ラジオMCなどを行なっている
著書「思わず人に言いたくなる伝染病の話(長崎出版)」
連絡先:ryota7974アットマークgmail.com
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編集部より:この記事は渡辺龍太氏のブログ「ネットメディアプロデューサー 渡辺龍太のブログ」2014年12月11日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はネットメディアプロデューサー 渡辺龍太のブログをご覧ください。