本稿では、2015年の外交・政治日程をカレンダーで見ながら、来年の日本にとっての外交や安全保障に与えるリスクを分析するものである。2、3か月ごとに、出来事を列挙し、注目点を述べたので、ご参考なり、ご批判なり、ご意見などに使っていただければ幸いである。
1.1~2月
(1)1月
1日 金正恩、新年の辞
2000年創設のユーラシア経済共同体は解消し、
ロシア他のユーラシア経済同盟(ポストソ連経済圏)が発足
17日 阪神大震災から20年
26日 通常国会開会
27日? オバマ、一般教書演説
未定 日露パイプラインプロジェクト本格始動?東京五輪までに東京へのパイプライン建設目指す
(2)2月
2日? 予算教書発表
末 ウィリアム英王子訪日
未定 東京五輪大会基本計画策定、発表
(3)コメント
まず、正月は金正恩第一書記の新年の辞が発表される。2015年は朝鮮労働党創建70周年であり、何らかの対外的なアクションに出て、それを業績をとする可能性が高いことから、それを予測させるものが感じ取れるかが課題となるだろう。
第二は、年明けには始動すると関係者が息巻いている日ロパイプラインプロジェクトである。ロシア側はLNG方式を望んでおり、パイプラインには冷淡とされるが、LNG価格低下により、日本側の提案に乗ってくるともされる。この日本側主導のプロジェクトが、本当に年明けに指導するならば注目しておく必要がある。
第三はウィリアム王子訪日である。現政権は、安倍首相のセキュリティダイアモンド論文でも触れていたように、英国との安全保障関係をかなり重視しており、おそらくは安倍首相が大々的に歓迎すると思われる。
2.3~4月の出来事
(1)3月
10日 東京大空襲70周年
11日 311大震災4周年
27日 沖縄戦開始70周年
(2)4月
12~26日 統一地方選挙
21~23日 靖国神社、春の例大祭
(3)注目点
この期間で第一に注目すべきは、我が国にとっての戦災、災害関係の記念日が集中していることである。特に沖縄戦70周年は統一地方選の期間とかぶっており、閣僚の不用意な発言なり、普天間移設推進のための行動を行えば、沖縄での地方選挙での自民党の退勢を加速化させてしまうかもしれない。その為、合理的に考えれば、来年は、沖縄戦終結70周年の6月20日までは普天間移設関係では中央や対米関係を除けば動きがないかもしれない。
ただし、沖縄での反自民党ムードは、旧来のゼネコン・基地利権の恩恵が一部に集中していることへの市民の反発という側面もあって、実は反基地運動や一部の独立運動と=ではないという側面がある。となれば、5月とされる訪米の『お土産』がない中で、安倍政権が強行する可能性もある。その場合、安倍政権は後から翁長陣営をカジノ誘致などで取り込めばよいと考えていると思われるが、反対派との衝突で死傷者が出れば思わぬ足かせになるかもしれない。
いずれにせよ、この時期は沖縄県関連の情勢に注目すべきなのは間違いない。
第二は春の例大祭である。さすがに安倍首相は参拝せず、玉串料でお茶を濁すと思われるが、麻生副総理以下の大臣なり議員が集団参拝する可能性がある。そうした場合は直後に予定される日米首脳会談で、日本側の交渉カードを減らすことになると思われる。
「2015年、日本を襲う外交・安全保障リスク(中)5~6月」に続きます。
站谷幸一(2014年12月20日)
twitter再開してみました(@sekigahara1958)