2015年、まずは関西が元気になりそう

大西 宏

今年は、経済はまだら模様の展開になってきそうです。グローバル展開を行なっている大企業は、円安効果の恩恵を引き続き受けますが、中堅企業、中小・零細企業にとっては、調達コストが上昇しても、価格に転嫁できず厳しい状況が続きます。
図は、昨年の10~12月に内閣府が行なった法人企業景気予測調査の1~3月、また4~6月の見通しですが、そういった状況が反映されているように感じます。ただこの時点の調査では、予想を超える原油価格の下落の影響がまだ織りこまれていないのではないでしょうか。高騰していたガソリン価格も、12月には、2013年末の水準となり、新年にはいってさらに下落が続いています。


全体としては納得できる結果ですが、中堅企業、中小企業といっても企業によって状況は一律ではなく、足場としている市場環境、また企業努力によって差がでてきていることを身近な事例でも実感します。業界秩序の垣根がどんどん崩壊してきているなかでは、企業努力の差がでてきます。

企業間だけでなく、地域による差もでてきそうです。関西は、iPS細胞の周辺事業が動き始め、また昨年は国内外からの観光客が急増しましたが、今年も元気のでそうな楽しみな材料が多く、5日に開かれた、関西の経済3団体、大阪府、大阪市が主催する「大阪新年互礼会」でも、経営者の方々から、ずいぶん前向きな抱負が語らえていたようです。
「挑」「志」「展」「越」… 関西の経営者、今年も前向き志向で – 産経WEST

東京一極集中化の弊害といっても、首都圏にお住まいの人からすれば、よしんば理屈では納得したとしても、実感が持てず、関心も低いのではないかと思えます。大阪都構想の問題に関しても、その是非はともかく、マスコミや評論家の人たちの論調も他人ごとになってしまっています。

しかし、東京一極集中からの脱却は日本の経済の多様で、個性的な産業が生まれ育ってくるためにも、また暮らしの豊かさづくりにとっても、安全保障を考えても避けて通れません。そして、日本の第二の経済圏である関西が、東京一極集中化の是正の役割を担っていることはいうまでもないことです。

その役割を背負っているはずの関西経済圏の中核である大阪は、かつては都市ランキングで世界6位であった歴史もありますが、経済が停滞するなかで、いまでは総合ランキングで23位にまで後退してしまいました。ちなみに東京は4位です。しかも、国際競争力では東京は6位ですが、大阪は47位にまで凋落してしまっています。

しかし2015年は、関西がホットになってきます。まずは5月17日に大阪都構想の是非を問う住民投票を行う考えであることを橋下市長が示されています。結果はともかく、住民がお上任せではなく、自ら大阪のあり方を考えるいいきっかけになると思います。

USJ効果で、今は大阪のホテルは満室状態が続いています。昨年J2からJ1に復帰したガンバ大阪が奇跡の3冠制覇を達成しましたが、この秋には、募金などの寄付で建設されるガンバ大阪のスタジアムが完成し、また同じころに、またとないアクセスに恵まれたエキスポランド跡地に、アウトレットモール、海遊館、シネマコンプレックスなどが完成します。集客力のある観光スポットがまた追加されます。
月間1億円に迫る! ガンバ大阪「3冠景気」で募金好調 新スタジアム建設に“追い風” – 産経WEST

さらに沖縄がカジノを含む統合型リゾート施設誘致を見送ったために、大阪への誘致に有利になってきました。立地候補の舞洲は、大阪五輪誘致のために埋め立てたもののなんら利用されないままに無駄に残っている広大な敷地ですが、そこに人が集まり、経済効果を生み出すエリアに変貌する効果ははかりなく大きいのです。
沖縄、カジノ誘致見送り「好調な観光に影響」  : 読売新聞
橋下氏 カジノ誘致「一番手目指す」 – 政治ニュース : nikkansports.com

関西経済の懸念材料は、関電による電気料金の値上げです。原発再稼働を行えば、この点は解消されてきますが、はたしてどうなるのでしょうか。

関西に明るい話題が多いことは、関西にとってだけでなく、地方創生の動きを加速させるうえでも好材料になってくるので、期待したいところです。