眠れる獅子と言われた時代から一変し、中国が世界第2位の国内総生産(GDP)を誇るようになったいま。東京をはじめシドニーやパリ、ニューヨークまであらゆる都市に中国人観光客が押し寄せるようになりました。さすが人口13億人なだけあって、ビザ制限が掛かっているとは夢にも思わないくらいの人出に驚きを禁じ得ません。
中国からの観光客が急増するなかで、米商務省内にある旅行観光業担当局(OITT)は2014年にアメリカを訪れた旅行者が前年比5.9%増の7388.7万人とはじき出していました。2019年には、8828.7万人に達すると試算しています。中国人がけん引役なのは言うまでもなく、2013年の180.7万人から2019年には172%増の491.1万人に膨らむ見通し。アメリカへの旅行者数・国別ランキングでは2013年の7位からドイツ、ブラジル、日本、イギリスを抜いて一気に3位へ躍り出ることになります。
2013年で日本の観光客は4位ですが、2019年には1%減の369.1万人で5位へ転落するシナリオに。
(出所:OITT)
この数字だけでもビックリですが、もしかするとさらに増加する可能性が浮上中。なぜかというと、アメリカが中国人のビザ制限を緩和したからです。
2014年11月に開催したアジア太平洋経済協力会議(APEC)で会談したオバマ米大統領と習主席は、二酸化炭素(CO2)削減に向け合意しただけではありませんでした。非移住目的の商用・観光両方で使えるBビザの有効期限を1年から最大10年に延長したのです。滞在期間は商用のB1ビザで最大で3ヵ月、観光用のB2ビザなら最大6ヵ月となります。
学生ビザにあたるFビザ、実習生および職業訓練生向けのJ・Mビザの保有者は、これまでの1年から最大5年あるいはプログラム期間へ規定が変更となりました。滞在期間は、プログラム期間中にわたります。またF・M・Jビザ保有者の親族も、5年あるいはプログラム期間まで有効期限内なら何度でも訪米できる仕組みに変更されました。
2011年には、ウォルト・ディズニー傘下のABCニュースが観光客の閉め出しに対する恨み節を吐き出していましたっけ。働きかけに奏功しビザ制限が緩和したおかげで、今となってはミッキーもホクホクでしょう。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年1月21日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。