「4人で4LDK」に住んでるのに、脱法シェアハウス?

音喜多 駿

本日午後はぶっ通しで本定例会で審議する議案のレクチャーマラソン。
前回の弁当路面販売規制に引き続き、皆さまに関係ありそうな議案をご紹介します。

今回の条例改正案で変わりそうなのが…いわゆる「脱法シェアハウス」の問題です。


近年都市部を中心に急速に広がっているシェアハウスですが、防災や建築上よろしくない所謂「脱法シェアハウス」の横行も一時期話題となりました。
これを規制すべく国(国交省)が取った対応は、

「シェアハウスはすべて、住居ではなく『寄宿舎』とみなすべし!」

という通達でした。
簡単に言うと『寄宿舎』には厳しい防災や建築上の基準があり、例えば各部屋に必ず窓やスプリンクラー等の装置や、避難経路を設置しなければなりません。

さらに東京都の場合、独自の安全基準条例により、一部屋一部屋に対して外に庭のような「空地」が必要と定められています。
この基準を満たす一戸建ての住宅は、都心部には極めて少ないと言えるでしょう。

これらを総合して厳密に運用しようとすると、ニュースなどで話題になったタコ部屋のようなシェアハウスだけではなく、

「4LDKに4人で住んでます」

というような普通の居住形態まで脱法的な存在になってしまいます。

「家族4人で住むなら住居なのでOKだけど、赤の他人だと寄宿舎になるのでダメ!」

という線引を、どのような理屈で誰が行えるのでしょうか?
残念ながらこの一律の基準は現実に則さない無理なものと言わざる得ませんし、この点について私も2013年冬の定例会で基準改正を提言する文書質問を提出していました。

文書質問全文>オープンデータとシェアハウス施策
http://otokitashun.com/blog/togikai/2046/

今回提出されている条例案は簡単に言うと、これらを緩和してシェアハウスを柔軟に許容するものと言えそうです。

多用な住まい方に対応した東京都建築安全条例の見直し方について

まず昨年6月に国交省通達で『寄宿舎』の基準が緩和され、一定の条件があれば防災壁や避難経路がなくてもOK!という設定になりました。

これを受けて東京都でも、特に都心部では極めて非現実的と指摘されていた「一部屋毎に空地が必要」という基準を、条件付きではありますが緩和する運びになったのです。

現実的にはほぼ取り締まりや指導はなかったとはいえ、これまでこれらの厳しい基準で一般的な住居を「シェアハウス」として賃貸することに二の足を踏んでいた状態に対して、ポジティブな影響が出てくるかもしれません。

とはいえ、長い長い条文を読むと、あくまでこの規制緩和は「条件付き」。
部屋の大きさや階数などに、それぞれで厳格な線引があります。

これからシェアハウスに住もうと考えている方、または住居をシェアハウスとして貸し出したい方は、きちんとお近くの基礎自治体の担当部署に確認するのが良さそうです。

弁当の路面販売のような違和感ある「規制」には反対しつつ、ルールを実態に合わせるこのような「規制緩和」には積極的に賛成する所存です。

あとはそれぞれの「条件」が果たして適切なものか否かを精査しつつ、本会議での議決に臨みたいと思います。

それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。

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