戦略もなく都構想反対に走った民主党が大阪から事実上消滅

大西 宏

都構想が焦点ともなった今回の大阪市議会選で、都構想反対を強硬に唱えていた民主党が6議席すべてを失い、府議会選でも選挙前の7議席から残ったのはわずか1議席で、大阪からは事実上消滅ということになりました。立ち位置の選択を決定的に間違ってしまった当然の結果だと感じます。


ローカルな話なので、結果をざっとご紹介すると、維新は、市議会で29議席から36議席と増え、府議会は45議席から42議席と減ったものの、ともに維新が第一党を維持したのですが、過半数の獲得には至っていません。
【統一地方選】「負けです」…維新・松井幹事長「過半数割れ」に悔しさにじます – 産経WEST

都構想反対の立場では、 自民党は市議会で1議席伸ばし、府議会では12議席から21議席に増えたことが目立っていました。そんななかでは民主党は惨敗ということになります。

その最大の理由は、政党としての独自の立ち位置を失ってしまったことだと思います。大阪の民主党は、あきらかに市職員側、組合や日教組側の利益代表に偏ったポジションをとったために、一般の市民や府民からすれば、党の立ち位置のイメージがリベラルよりも左寄り、社民党や共産党と同じに映ったのでしょう。

しかも決定的な誤りは、学校の式典での君が代斉唱問題で、日教組と同じ立場をとった、その同じ感情や情緒の延長線で都構想にも反対してしまったのです。まったく根拠のある反対理由が示されていないので、そうとしか思えません。

感情や情緒に流された結果、自民党や共産党と都構想反対の統一戦線を平気で組んだのですが、それが民主党にとっては自殺行為となりました。

自民党も、なんのビジョンもなく、同じように都構想に反対していますが、それでも政権与党とのパイプ役としてのポジションを持っています。公共投資誘致の約束を乱発すれば、さまざまな地元の利権者の支持を得ることもできます。とはいえ、それで主流を握るということにはなりません。

しかし民主党はなんの政策もなく、ただ反対だけなのですから話になりません。この自民党と民主党の主張を、自民党の竹本直一、民主党の辻元清美両代議士のホームページから取り上げ、アゴラで北村隆司さんが小気味良く批判されています。
都構想1:竹本はん、辻元はん、あんたらどっち向いとんねん : アゴラ –

同じく北村さんのアゴラの記事で、両議員が「私は、大阪に生まれ、大阪に育ち、大阪を愛しています。愛する大阪を壊してはなりません!」とか言っていることを取り上げていらっしゃいますが、なにをかいわんやです。

 もうとっくに壊れたに等しいほど、大阪は衰退してきたのです。衰退、壊れゆく大阪を直視せず、それにどう手を打つかの構想も持たず、なにが愛だというのでしょう。 大阪が好きなら、なんとかしないといけないと考えるのが政治家の仕事です。都構想に反対するだけでなく、なんらかのプランを提案しなければなりません。なんらの提案もなく、大阪を愛しているなどと言わないで欲しいのです、愛しているのはそれぞれの政治家としてのご自身の立場ではないのでしょうか。
都構想2:竹本はん、辻元はん、大阪を壊しよって、何悪い : アゴラ –

大阪で民主党が消滅し、公明党は曖昧な立場をとっているので、これで自民党と共産党が「守れ!」コールで共闘することになります。ほんとうに奇妙な理念なき統一戦線です。残念ながら大阪市民ではないので、住民投票の権利がありませんが、いよいよ住民投票の行方が面白くなってきました。