業界の大物ベンとジゼル、それぞれの決断 --- 安田 佐和子

アゴラ

春は出会いと別れの季節。ファッション業界と金融業界の大物も、アメリカで桜が咲き乱れた頃、それぞれの決断を下しました。


まずはこの方、ベン・バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長。ブルッキングス研究所の特別研究員となりブログを開始しただけでなく、運用資産250億ドルを誇るヘッジファンド大手シタデルのシニア・アドバイザーに就任いたしました。離婚調停中の妻から高額な養育費を求められお茶の間を騒然とさせたイリノイ州一の富豪、ケン・グリフィン氏が率いるあのHFです。さすがに世界恐慌の研究で知られるバーナンキ氏なだけあって、投資先を推奨するわけではありません。世界経済、金融動向に対し分析し同ファンドの投資委員会および顧客に情報を提供するといいます。ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙によると、バーナンキ前FRB議長は「他の大手銀から誘いを受けていた」そうです。しかし、シタデルであればFRBの規制対象ではなく「利害の衝突が避けられる」ため着任を決断しました。

バーナンキ前FRB議長の新天地は、特段珍しいものではありません。アラン・グリーンスパン元FRB議長はドイツ銀行、PIMCO、HF大手ポールソンでアドバイザーを務めた経歴があります。ジェレミー・スタイン前FRB理事も3月、HF大手ブルーマウンテン・キャピタル・マネジメントのオファーを受けました。

ファッション業界の大物といえば、ブラジルの宝石ジゼル・ブンチェン。世界で一番稼ぐモデルとしてトップを走り続けただけでなく、夫で今年スーパーボウルの覇者となったニューイングランド・ペイトリオッツのトム・ブレイディ選手とともに、フォーブス誌の「最も稼いだ夫婦」ランキングの常連ですよね。2013年は音楽ストリーミング・サイト市場に殴り込みかけたあのカップルに次いで、2位の8000万ドル(約96億円)でした。

まだ34歳のジゼル、故郷で開催されたサンパウロ・ファッションウィークでショーモデルとして引退を発表しました。15日の夜に最後のキャットウォークを披露したジゼルを、トムは最前列の席で見守っていたといいます。

デビューは14歳、まだ初々しいながら香り立つ美貌はさすが。

フィナーレは、ジーンズとTシャツでシンプルなのがジゼル流。


(出所:Instagram)

2人の子供を抱える母、ジゼルは家族との時間を大事にしていきたいと言います。とはいえ「特別なプロジェクトにも注力していきたい」と話していますから、アンダーアーマーなどの広告塔として威光を放ち続けることでしょう。

(カバー写真:Susan Walsh/AP)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年4月16日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。