大都市は急速に老化する

大阪都構想をめぐる住民投票の結果について、アゴラでもいろんなコメントが出ているので、簡単にデータを整理してみよう。何といっても印象的なのは、次の数字だ。


反対が過半数になったのは70歳以上だけ(50代の女性がわずかに過半数)なのに、全体として過半数になるのはちょっと不思議だ。大阪市の70歳以上の有権者に占める比率は25%なので、この世代の投票率がよほど高かったとしか考えられない。

地域別の賛否もはっきりしている。いわゆるキタのビジネス街は賛成で、ミナミの飲食街は反対だ。これも高齢化率にほぼ対応している。


地域ごとの事情もあるだろうから断定はできないが、高齢化率×投票率の差が老人の過剰代表をまねくという意味では、新田さんのいう「シルバーデモクラシー」の結果といえよう。

ただし、これはその「完成」ではない。次の図のように大阪市の高齢化は、特に南部で急速に進んでおり、最大の西成区では1980年から2005年までに高齢者が4倍以上に増えている。南部では人口が減少しているので、高齢化率はもっと極端に上がっている。


要するに、今まで地方で起こっていた高齢化が、これから大都市で本格的に始まるのだ。これは東京も同じで、松谷明彦氏の『東京劣化』では、東京の高齢者は2040年までに53%増えると予想している。高齢化による世代間の格差や都市と地方の格差をどうするかが、これからの日本の最大の問題である。