人類最初の「殺人」の記録

我々人類の祖先が、非常に好戦的で同種同士の殺し合いや「共食い」などを恒常的にやってきたことは明らかな事実だ。旧石器時代の化石には、こうした証拠がたくさん認められる。また同種同士でやっているわけで、当然、ネアンデルタール人などの従兄弟関係にある種族やほかのホモ族とは、さらに過激な抗争があったことは容易に想像できる。


こうした我々の「殺し合い好き」な性質は今でも強く残っているようで、これが殺人事件や戦争や紛争がなかなかなくならない理由と主張する研究者も多い。ただ、殺し合いや共食いを推測させる遺跡や化石は更新世(Pleistocene)の前期にまでさかのぼることができるが、打撲などの直接的な外傷が死亡理由とはっきりわかるような化石は、それほど古い地層からは出ていなかった。

表題の論文では、スペイン北部の約43万年前の地層から、おそらく人類最初の「殺人の証拠」を記録した頭蓋骨が発見された、と書いている。この年代の人類は、ネアンデルタール人との共通祖先を持つ旧人だった。固い石か何か先の尖った武器のようなものが、何度も執拗に打ち付けられている。頭蓋骨に穿たれた陥没骨折の跡は、第三者による被害者への強い殺意を感じさせるものだ。


論文のFigure。額の右上に打撃痕がわかる。

PLOS ONE
Lethal Interpersonal Violence in the Middle Pleistocene


The Missing Statistics of Criminal Justice
the Atlantic
これほどビッグデータ活用が声高に避けられていても、意図的か不作為か未必の故意か、ある特定の統計がまとめられていない、ということがあるようだ。この記事では、米国における犯罪統計で大きな穴がある、と書いている。たとえば、警察を含めた司法行政による民間人の「殺害」数がなく、また米国には人口の約25%、6500万人分の犯罪データがあるが、そこには人種別の統計はないらしい。また、刑務所内の性的なもの以外の暴行件数も欠如している。データ集計を法的に義務化させていない欠陥があり、問題解決の糸口を探るための重要なヒントがない状態が続いている。

Parental smoking puts nearly half a million UK children into poverty
EurekAlert!
最近よく「子どもの貧困」という言葉を耳にする。おかしな表現だと思うが、生産手段を持たない子どもが経済的に貧しいのは当然だろう。貧しいのは、その子の親であり家庭であり血縁集団だ。この記事では、タバコに使われる金のせいで、喫煙者のいる家庭の子どもに「貧困」が多い、と書いている。これもどこか不自然な記事のように感じる。

Someone stole a truck filled with copies of Nintendo’s new game
BUSINESS INSIDER
「ゲームが盗まれる」というと、ソフトウエアが違法にダウンロードしたりすることを想像するが、この記事によれば、物理的にゲームソフトのパッケージ自体が倉庫から盗まれたようだ。盗まれたのは、任天堂のWii U用の「スプラトゥーン(Splatoon)」でイカのキャラクターフィギュアが付録で付いたもの。被害に遭ったのは任天堂と注文していた英国のファン。フィギュアをあきらめる代わり10ドルの値引きを受け入れるかキャンセルすることができるようだ。

Asia の調査 5/24~5/31: 海底ケーブルについて、この一年のトピックをまとめてみた
Agile Cat – in the cloud
海上に迫害された難民を浮かべ、海底には世界を結ぶケーブルが張り巡らされる。これが今のアジアの現実だ。こうしたケーブル施設の目的は、当然ながらインターネット網。情報を「運ぶ」利権の争奪戦が激化しつつあるようだ。


アゴラ編集部:石田 雅彦