プランクトンにも「目」があった

生物の「目」の進化は、かなり興味深い。プラナリアは、百くらいに切り割いても全体が再生する生物として有名だが、このプラナリアにも「目」がある。頭部に小さな黒い点が二つ並んでいるのだ。これは原始的な「目」とされ、レンズもなく視細胞も少ない。

一方、昆虫の複眼は我々の目とはまったく違っている。だから、生物によって別々に「収斂進化」したのだろうと考えられていた。この学説が覆ったのは、遺伝子の研究からだ。生物の基本的な機能は、かなり原始的な生物でも我々ヒトでも共通に持っているホメオティック遺伝子によって形作られることがわかった。

目を作る遺伝子は「Pax」という遺伝子群のナンバー6である「Pax6(パックス6)」という遺伝子らしい。転写調節因子としても知られているPax6は、ホメオティック遺伝子として発生時から脳の機能性の獲得に関係していると考えられているが、その多くの働きはまだよくわかっていない。

表題の記事では科学雑誌『nature』の論文を紹介しているが、これはなんと植物プランクトンにも「目」があった、というものだ。捕食活動の際にこの「目」で獲物を「見ている」らしい。このプランクトンは渦鞭毛藻(うずべんもうそう)で、2本の鞭毛で水中、海中を推進し、基本的に光合成で栄養を得るが、ほかのプランクトンを食べたりもする。

「目」の定義が問題になるが、Pax6によって「目」ができるのはおそらく軟体動物からだろうと考えられていて、こうしたプランクトンでも同じ遺伝子があるのかどうか、この論文には書いていない。いずれにせよ「目」のようなものは、生物が共通して必要になる器官なのだろう。


科学雑誌『nature』に掲載された「Eye-like ocelloids are built from different endosymbiotically acquired components」という論文のプランクトンの「目」。同論文のFigureより。

すぎりおのがんばったるねん
プランクトンの目


ギリシャの国民投票はたぶん反対多数に 賛成が減る理由は?
千日ブログ~雑学とニュース
借金まみれのギリシャが、金貸し側の条件、つまり自分たちに緊縮生活を強いる支援プログラムの延長提案を飲むかどうか決める国民投票が7月5日に行われる。人間まじめに生きなきゃだめと受け入れるなら「イエス」、いやもう緊縮生活はまっぴらだ、けせらせらで生きてやる、というなら「ノー」に投票する。「ノー」が多数になれば、ギリシャはEUを離脱するかもしれない。このブログ記事では、大阪市の住民投票のように予断を許さない状況ながら「ノー」が上回るだろう、と書いている。保守的な判断なら逆じゃないか、と思いつつ、筆者も投票行動を読めずに錯綜混乱しているのかもしれない。

「日本に行ったら買わねばならない医薬品」と紹介された小林製薬製品の一部が、訪日中国人旅行客らの「爆買い」などで、4~6月期の売り上げが前年同期比で5倍以上に膨らんだ。
坂井直樹のデザインの深読み
中国人旅行者の「爆買い」行動があちこちで話題だ。炊飯器やカメラ、腕時計、化粧品などが飛ぶように売れているらしい。だが、成田空港などでは、機内持ち込みの免税品が大量に発生し、重量オーバーのためカウンター揉めたり、出発が遅れたりすることが問題になっている。航空会社では対策のため、持ち込み手荷物に課金する動きもあるようだ。この記事では、小林製薬の「熱さまシート」などの医薬品が「爆買い」されている、と書いている。確かに、ドラッグストアへ行くと、多種多様なサプリメントや医薬品が売られていて頭がくらくらする。中国人にとっては、どこへ行ってもテーマパークのように楽しいのかもしれない。

フロイトとロジャーズどちらが正しいのか
かぐらかのん
フロイトはパターナリズム(Paternalism)でロジャーズはマターナリズム(Maternalism)、というブログ記事だ。これは性悪説と性善説の違いであり、どちらが正しいかわからない、と書いている。人間の反応はその人間の性格や環境、状態などによって千差万別なので、時と相手によって厳しく指導し、また時と相手によって優しく抱擁する、といった使い分けが必要なのだろう。精神分析に限らず、人間の脳科学自体がまだ発展途上なのだから、是々非々融通無碍にやっていくしかない、というわけだ。

Google Glass: New version in the works?
INTERNATIONAL BUSINESS TIMES
「あの」Google Glassが性懲りもなく新しいデザインで開発中、という記事だ。すでに、メガネ型のウェラブルデバイスは成功しない、ということがわかったのにサンクコストを捨て切れていないのかもしれない。このガジェットの欠点は、お恥ずかしいインターフェースでもバッテリーの容量でもない。人間には、メガネをかけた上の空の相手とコミュニケーションしたくない、という固有のネガティブな感覚がある。コンタクトなど、オモテに出ない仕様にしない限り成功しないだろう。


アゴラ編集部:石田 雅彦