民主党は「子どもたちの未来のために」という宣伝文書で「憲法解釈を閣議決定で変更して徴兵制が実施される可能性も否定できない」と書き、こういう「いつかは徴兵制?」というビラを全国に50万枚、配布しました。
さすがにこれには党内から異論が出て、ビラは破棄されたそうですが、宣伝文書は依然として民主党のウェブサイトにのこっています。
よい子のみなさんは知らないでしょうが、戦前の日本では若者は国から「赤紙」と呼ばれる召集令状が来ると、戦場に行かされました。これが徴兵制ですが、戦後の日本には(憲法上は)軍隊はないので、徴兵制もありません。
徴兵制は先進国では廃止される方向で、アメリカが1973年に徴兵制を廃止したほか、フランスやドイツなどでも廃止され、今ではG7諸国で徴兵制をとっている国はありません。
現代の戦争はハイテク化・無人化し、「ドローン」と呼ばれる無線操縦の飛行機で爆撃もできるようになったので、必要な兵隊の数はすくなくなり、技術的知識のないしろうとを徴兵しても役に立ちません。今度の安保法案で想定しているような限られた海外派兵で、徴兵制が必要になることも考えられません。
民主党が「子どもたちの未来のために」と称してこんな子どもだましのビラをまくのはなぜでしょうか。それは彼らが政府の安保法案に対して「民主党はこうして国をまもる」という対案をもっていないから、子どもをもつ母親の不安をかきたてて票を集めようとしているのです。
このビラからみえてくるのは、昔の社会党から変わらない「戦争はいやだ」といっていれば戦争はおこらないという空想的平和主義と、「母親は無知だから子どもの話をすれば恐がる」という女性蔑視です。子どものことなんか何も考えていません。
民主党は政権をとったときはそれなりに独自の政策をだそうとしましたが、みんな失敗におわったので、「なんでも反対」の社会党にもどろうとしているようにみえます。こんな母親をバカにしたビラをばらまいたら、一番よろこぶのは自民党でしょう。