ディズニー業績に、忍び寄るドル高と中国の魔の手 --- 安田 佐和子

ディズニーが発表した4-6月(第3四半期)決算では、純利益が前年同期比10.6%増の24億8300万ドルだった。希薄後の1株当たり利益は1.45ドルと、市場予想の1.42ドルより強い。ただし売上高は5.1%増の131億100万ドルと、市場予想の132億3000万ドルを下回った。

売上の部門別は、以下の通り。

>メディア・ネットワーク部門(ABC、ディズニー・チャンネル、スポーツ専門局ESPNなど)
5%増の57億6800万ドル。ABCファミリーとディズニー・チャンネルの番組売上料、その他関連収入が支えた。ESPNでは視聴者数の減少に伴う広告収入の落ち込みをNBAプレーオフで相殺している。

>パーク・リゾート部門
4%増の41億3100万ドル。米国内では来場者数の増加と支出増が寄与。ただし海外では香港での来場者数の減少に加え、パリと香港でのコスト拡大が業績の重しとなり、値上げで相殺した。

>スタジオ・エンターテイメント部門(映画事業)
13%増の20億4000万ドル。映画「アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン」が前年度の「キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー」を超えるヒットを記録したほか、「シンデレラ」も貢献。「トゥモローランド」の成績を打ち消した。ただ、一部の市場予想には届いていない。

>コンシューマー・プロダクツ部門
6%増の9億5400万ドル。引き続き、大ヒット映画「アナと雪の女王」関連グッズの売れ行きに支えられた。

>インタラクティブ
22%減の2億800万ドル。

クリスティーン・マッカーシー最高財務責任者(CFO)はカンファレンス・コールにて、ドル高に伴いパリのユーロ・ディズニーにおける売上が1億ドル押し下げられたと明かした。また、メディア・ネットワーク部門の2013—2016年度の営業利益伸び率を5%増と予想。従来の6-9%増から下方修正している。背景として、ドル高に伴う視聴者数の減少を挙げている。ロバート・アイガー最高経営責任者(CEO)によると、4-6月期にESPNで「小幅な」加入者の減少を確認したという。時間外取引で、株価は一時6%近くも落ち込んだ。

——以上、4-6月期決算はドル高という魔の手がディズニー・マジックに襲いかかりつつある懸念を誘いました。ただし悪材料ばかりでは、ありません。世代を超えて愛される大ヒット作「スターウォーズ/フォースの覚醒」が12月18日に公開されますよね。しばらくはドル高リスクが気掛かりですが、冬に挽回する期待も募ります。

決算より、気になるニュースが・・・。日本では、東京五輪の公式エンブレムがベルギーの劇場ロゴを盗用したとの疑いが浮上していますが、こちらの国も負けていません。

その国とは・・・日本のお隣、中国!

2022年の冬期五輪開催地に決まった北京、あろうことかディズニーが生んだメガヒット映画「アナと雪の女王」をパクったとして、大きな反響を呼んでいます。

北京五輪のテーマ曲のひとつ「雪と氷のダンス(The Snow and Ice Dance)」が、世界中の人々に愛された「ありのまま(Let It GO)」と瓜二つといいますから、さあ大変。

早速、中国で閲覧不可なユーチューブでまさかのコラボ動画を作った方が!


(出所:Youtube

どうぞ、リンクをクリックして確かめてみて下さい。思わず、自分の耳を疑ってしまうほどですよ!中国側は、ありのままに「盗作しました(てへぺろ)」と応じるのでしょうか?日本のエンブレム疑惑と合わせ、何とかして頂きたいものです。

(カバー写真:Tom Bricker/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年8月4日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。