韓国の聯合ニュース(7日)によると、韓国ギャラップ社が実施した「歴代大統領の中で誰が韓国を最もうまく導いたか」の世論調査の結果、朴正熙元大統領が約44%でダントツで第1位だったという。同世論調査は、7月28~30日と、8月4~6日の2回に分けて全国の成人計2003人を対象に実施された。
調査結果によると、①朴正熙・約44%、②盧武鉉24%、③金大中14%がベスト3。一方、李承晩3%、全斗煥3%、金泳三1%、李明博1%、盧泰愚0・1%と、評価は低かった。
ギャラップ社によると、朴元大統領を支持した理由として、経済発展(52%)、農村改革運動の「セマウル運動」(15%)、国民生活の改善(12%)、京釜高速道路建設など国土開発(8%)が挙げられた。
参考までに、盧武鉉元大統領の功績については、①国民との疎通(17%)、②庶民の立場を代弁(17%)、③庶民経済に尽力(10%)が挙がり、金大中元大統領については、①対北朝鮮「太陽政策(包容政策)」(27%)、②アジア通貨危機の克服(18%)などが功績に挙げられたという(以上、聯合ニュース)
ギャラップ社の世論調査結果は、多くの人々にとってサプライズではないだろう。当然の結果だからだ。“漢江の奇跡”をもたらした大統領であり、朝鮮半島の小国の韓国を経済国まで引き上げた功労者だ。そして、朴元大統領がどのようにして荒廃した国民経済を立て直していったかを考えると、日韓基本条約、請求権協定の締結、それに基づいた日本側の支援があった事実を看過できない。韓国は当時GDPの2倍以上に当たる資金を日本から受け、国民経済の立て直しに投入していったわけだ。歴代大統領の中で最も日本との人脈や繋がりがあった朴元大統領が「歴代最高の大統領」に選出されたという事実は元大統領の娘、朴槿恵現大統領も深刻に考えなければならない。時代と朝鮮半島を取り巻く政治情勢には違いがあるとしても、隣国・日本との連携、友好関係が経済復興をもたらした最大の原動力となったという事実は現在でも当てはまることだ。
弁護士出身の人道派政治家、盧武鉉が国民、特に若い世代に依然人気があるのは理解できるが、大統領としての政策面の功績は少ない。金大中については北朝鮮への貢物によって実現した金正日総書記との南北首脳会談への評価は別として、国民の南北統一への関心を高めた功績は無視できない。一方、実業界出身で日韓の未来志向関係を提唱して登場した李明博には当方は失望させられた。任期終了間際に竹島を訪問し、日韓関係を険悪化させた張本人だ。言行不一致の代表的な大統領だった。国民の支持も1%と、前大統領としては恥ずかしいほど低い。韓国国民は案外、大統領の言動を冷静に見ているのかもしれない。
いずれにしても、韓国ギャラップ社の世論調査結果は大きな教訓を提示している。隣国は選ぶことができない。反日外交を主導する朴槿恵大統領は父親の賢明な対日政策から学ばなければならない。任期は後半戦に入る。朴現大統領に残された時間は多くないのだ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2015年8月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。