児童虐待問題の解決に向けて~状況変化を踏まえた政策策定を望むなら~

私は昨年の此の時期『「児童虐待7万件超、23年連続増」に思う』というブログを書きましたが、今年に入っては1月に2万9979人(13年2月時点)の「児童養護施設の子供、59.5%が親などから虐待(中略)。08年の前回調査時に比べて6.1ポイント上昇」との報道があったり、昨年の児童虐待の疑い「2万8923人(前年比33.9%増)で、統計のある04年以降最多(中略)。警察が摘発した親などの数も719人(同49.2%増)と最多」(3月26日)等と報じられています。


我が国の国民として誇りを持ち、世界の人々と融和して益々この世を良くして行くということを背負って生きて行くべき子供達が、本来無償の愛を受けるべき親から虐待されている状況は余りにも痛ましいことであります。

今月5日付の西日本新聞社説は、「政府は児童虐待防止に向けた新たな政策を年末までに取りまとめる方針だ(中略)。児童虐待防止法の施行から今年で15年。状況の変化を踏まえた政策作りを望みたい」として始められています。

私自身これまで直接的社会貢献として、5年半程前に公益財団法人に移行したSBI子ども希望財団、及び私の個人的な寄付で埼玉県嵐山町に07年に設立した社会福祉法人慈徳院(こどもの心のケアハウス嵐山学園)という情短施設(情緒障害児短期治療施設)の運営に尽力してきました。

それは理不尽な虐待を受けた子供達を何とかしたいからであり、そしてまた、子供がある意味社会で最も恵まれていない社会的弱者であるからです。ですから、我々は此の虐待児達が健康で文化的な生活が出来るよう、微力ながらずっと応援してきました。

そして、こうした活動は現在社会が求めている事柄であり、此の年末「状況の変化を踏まえた政策」を具現化するというのであれば、この分野で一日の長ある我々のこれまでの活動もよく見聞して貰えればと思います。例えば上記した私どものSBI子ども希望財団では、次の4つの柱を軸として長年に亘る取り組みを行っています。

第一に、いわゆる児童養護施設を中心に寄付をすること。第二に、その施設に従事している人達に対する研修活動に様々な意味で貢献すること。第三に、此の自立支援活動に対して援助すること。第四に、「オレンジリボン・キャンペーン」の趣旨に賛同し虐待を防ぐべく社内外への普及・啓発活動に参画すること--私どもはこのような4つの柱を軸に、支援活動に取り組んでいます。

自立支援ということで更に述べれば施設出身者が社会に出て行く場合にあって、保証人になってくれる人がいないという理由で就職できなかったり、またアパートを借りる時も保証人がいなくて借りれないというケースが多々あります。之は8年前にも当ブログで指摘したことですが此の社会には、彼らの自立を阻む色々なハンディキャップが立ちはだかっているわけです。

また昔のように大家族の下で育つ場合には、子育てに爺婆が参加すると様々な形で子供・両親に対するケアが行き届くものですが、核家族化の進展の中でそれが段々と難しくなってしまったという現況もありましょう。

そういう意味で言うとSBI子ども希望財団は公益社団法人日本医師会と共同で、『増え続ける児童虐待について「社会全体としてどう取り組んでいけばよいか」というテーマを掲げ(中略)、児童虐待の現状をご理解いただくと共に、次世代の健全な育成を目指すという観点からも広く一般の方にもご参加いただきたいと考え、平成23年より毎年全国各地で開催し、多くの方にご参加いただいて』いる「子育て支援フォーラム」という取り組みも行っています。

それからもう一つ親自体が虐待されていた経験を有していると、その親の子供も親から同じように虐待を受けるという悪循環があるのも広く言われていることですが、此の「虐待の連鎖」も自身の経験から痛感していることであります。

上記社説は、児童養護施設等で「子どもたちに寄り添う職員の専門性の向上や待遇改善にも、政府は十分目配りしてほしい」として結ばれていますが、その類も含めて真に実効性ある「政策パッケージを年末までをめどに取りまとめ」るのであれば、やはり我々のようにずっと活動し続けている人達の意見を参考にすべきでしょう。

我々は、児童虐待問題という様々な理由が複合的に絡み合う中に生じている深刻かつ難解な現実と向き合い続けてきたのです。実態を知らない「学識経験者」とか「有識者」とか言われる人達に諮ったところで、高が知れたものしか出ないでしょう。

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