人類のために最大の貢献をした人 --- 松田 公太

アルフレッド・ノーベルの命日である12月10日が授賞式となっているノーベル賞。
10月5日には医学生理学賞、6日には物理学賞が発表されましたが、大村智特別栄誉教授(北里大学)、梶田隆章教授(東京大学)と二日連続の大変うれしいニュースとなりました!



ノーベル賞は、「人類のために最大の貢献をした人に与える」という遺言に基づいて始まったものですが、お二人の研究成果がもたらす恩恵の大きさははかり知ることができません。

特にセネガルで幼稚園から小学4年生までを過ごした私にとって感慨深いのは、寄生虫病に対する新しい治療法の発見をした大村教授の受賞です。

日本ではあまり知られていませんが、アフリカで甚大な被害をもたらしている病気はエイズや結核、マラリアだけではありません。むしろこれら以上の被害を持たしているのが熱帯地域を中心に蔓延している寄生虫や細菌による感染症です。先進国から主要な疾患と考えられてこなかったことから、NTDs (Neglected Tropical Diseases;顧みられない熱帯病)と呼ばれています。幅広い国と地域で蔓延し、感染者数は約10億人にものぼります。

大村さんの研究が生み出したのは、イベルメクチンという薬。これは、失明に繋がる「オンコセルカ感染症」と、足が象のように大きく腫れる身体障害(象皮病)を引き起こす「リンパ系フィラリア症」という2つのNTDsの特効薬として普及し、何億人もの方々を救いました。

病気の予防として思い浮かべるのはワクチン接種ですが、ほとんどのワクチンは完全な予防効果を得るために複数回の投与が必要ですし、病院を訪れなくてはなりません。

イベルメクチンは予防薬として「年1回だけ飲めばよい」というもので、しかも極めて安全で医師や看護師なしで服用できるため「奇跡の薬」と呼ばれています。

医療専門家のいないアフリカの奥地でも使用されており、NTDsに苦しむ地域の人々の生活を大きく変えることができました。

私が子どもの頃に良く見かけた象皮病の患者や、失明してしまった子どもたち。母からも「フィラリアは怖いから」と口癖のように言われ、外で遊ぶ時は蚊に刺されたりしないように常に注意を払っていました。それが1987年にヒトへの供与が開始されたイベルメクチンによって撲滅される見通しとなったのです。しかも、その素晴らしい薬を無償で提供しているという偉大さ。まさに人類のために最大の貢献をしたといえるのではないでしょうか。

病気の怖さを知るものとしても、心から感謝を申し上げたいと思います。日本人として、大変誇りに思います!


編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2015年10月7日の記事「人類のために最大の貢献をした人に与えられる賞」を転載させていただきました(見出しはアゴラ編集部で作成)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。