朝日新聞の大岩ゆり記者が「原発事故後の被曝、初の労災認定 白血病の元作業員男性」という記事で「原発事故への対応に伴う被曝と作業員の疾病に一定の因果関係がある」と書いています。
リードだけ読んだ読者は「ついに福島第一原発事故で被害者が出たか」と思うでしょうが、よく読むと彼は「2012年から13年まで、東京電力の協力企業の作業員として、3号機や4号機周辺で、構造物の設置や溶接の作業に当たり、14年1月に急性骨髄性白血病と診断された」。つまり原発で作業してから発症までに1年あまりしかたっていないのです。
労災基準では、放射線業務の1年以上あとに白血病が発症した場合に労災と認定しますが、厚労省は「今回の認定により科学的に被曝と健康影響の関係が証明されたものではない。『年5ミリ以上の被曝』は白血病を発症する境界ではない」と説明しています。
ところが大岩記者は「一定の因果関係がある」と書いています。被曝線量が100ミリシーベルトを超えると発癌率が生涯で0.5%増えるといわれますが、発症までは平均25年。チェルノブイリでも5年後からでした。わずか5ミリの被曝で1年後に白血病を発症した例は、世界のどこにもありません。
先日の津田敏秀氏の放射能デマを記事にしたのも、大手紙では朝日の吉野太一郎記者だけでした。朝日がいまだにこういうデマを続けるのは、2011年7月に「できるかできないか考えないで原発をゼロにしよう」と論説主幹が主張して「原発ゼロ」キャンペーンを張ってきたためでしょう。
これが朝日の特徴です。新聞が誤報を出すことはよくありますが、普通はすぐ訂正します。ところが社をあげてやったキャンペーンが根本的に間違っていた場合、それを訂正すると経営責任になるので、幹部に迎合してデマを書き続ける記者が出世するのです。これが朝日が慰安婦問題の嘘を20年以上もごまかしてきた原因です。
朝日新聞は、福島事故で1人でも死んでほしいのでしょう。こういうデマは、朝日の経営陣の面子を守る役には立ちますが、最初に引用したように現場で働いている作業員にはとても迷惑です。朝日新聞も慰安婦問題の教訓に学んで、「プロメテウスの罠」の鼻血に始まる今までの嘘を総括してはどうでしょうか。