菅直人元総理によれば、民主党は旗幟を鮮明にすべきだという。
彼は云う。
「安保法制に関しては専守防衛の憲法原則を守り、立憲主義の破壊を許さないという立場で臨んできた。」
この主張そのものが極端だ。立憲主義の破壊を許さない、というならば、かつて集団的自衛権の行使容認を正しいと主張していた民主党の野田元総理は、立憲主義を破壊しようとしていたというのだろうか。民主党は立憲主義の破壊を目指す人物を総理大臣として選出し、支えてきたというのだろうか。
間違っているのは、集団的自衛権行使容認に関して、「立憲主義の破壊だ!」などと極端なレッテルを貼ったことだ。こう主張した段階で、安保法案が可決された時点で、日本の立憲主義は破壊されていることになってしまう。
岡田代表は、共産党との連携について積極的だという。残念だ。
本来、民主党には二つの選択肢があった。
より左傾化を深めるか、現実主義的立場に立つか、の二つの立場だ。
※共産党の選挙協力呼びかけに波紋が広がる民主党(民主党サイトより、アゴラ編集部)
岡田代表はより左傾化を深める方向に舵を切ろうとしているように思われる。
だが、より左には、常に共産党がいる。
いつしか、国民には、民主党と共産党の違いがわからなくなってくる。民主党の中で、共産党とは異なる意見をいう人間を「右派」と糾弾するならば、もう共産党でいいではないかという空気が醸し出されてくるだろう。
民主党と共産党の差は何か。
この問題について、真剣に考えることを放棄してはならないだろう。それは、リベラルと共産主義者との差異を考えることと同じである。わが国では、共産主義者がリベラルを騙ることが多く、現実的なリベラリストが少ない。国民にとって、最も不幸なことだろう。
民主党と自民党の差は何か。これは勿論重要な問題だが、同時に、民主党と共産党との差を考えておくことも重要だろう。
編集部より:この記事は岩田温氏のブログ「岩田温の備忘録」2015年10月28日の記事を転載させていただきました(画像はアゴラ編集部担当)。オリジナル原稿を読みたい方は岩田温の備忘録をご覧ください。