もうこの人が何を言っても驚かなくなった、という意味で、凄い人だ。鳩山由紀夫元総理だ。
韓国で次のように語ったという。
「首相は自らを愛国者とはき違えているのだろうが、自信のなさの裏返しだ」
「真の愛国心とは、過去の歴史的な事実に目をつむらず、過ちには謝る勇気を持つことではないか。(安倍談話が)このような内容になってしまったことを申し訳なく思う」
「日本の政治エリート層に反知性主義がはびこっているといわれる。反知性主義と闘うために、日本人一人ひとりの教養を高めることが求められている」
「日本全体が右傾化しているように思うが、日本の政権がこのような雰囲気をそれとなく作り出しているように思えてならない」
「(9月の)抗日勝利70周年の式典で、30万人の兵力削減を約束した中国の習近平国家主席を見習うべきだ」
やはり凄い人だ。その発言の一つ一つが常軌を逸している。ここまで突拍子もないことを続けざまに堂々と発言できる無神経さに呆れかえるしかない。
※総理時代に世界経済フォーラムで公演する鳩山氏。政界引退後も“民間外交”が波紋を呼ぶ
(出典;Wikipedia、アゴラ編集部)
ちょっと検討してみよう。
「首相は自らを愛国者とはき違えているのだろうが、自信のなさの裏返しだ」
「真の愛国心とは、過去の歴史的な事実に目をつむらず、過ちには謝る勇気を持つことではないか。(安倍談話が)このような内容になってしまったことを申し訳なく思う」
鳩山氏に聞きたいのは、そもそもあなたには愛国心があるのか、ということだ。日本列島は日本人だけのものではないと主張したり、「日本人」と呼ばれることよりも「宇宙人」と呼ばれることを好むあなたに愛国心があるのか。
そして、果たして過去の歴史的な事実に目をつぶっているのは、本当に日本の方なのだろうか?日本は幾度となく謝罪を繰り返してきたが、未来永劫、続けるべきだというのだろうか?
鳩山氏は以前、次のように語ったことがある。
「『エンデバー号』で宇宙を飛んだ若田光一飛行士は…(略)…地図には国境があるが、実際の地球には国境が存在しないということを、どのように実感したであろうか。宇宙意識に目覚めつつあるこの時代に、国とは何なのか、私たちは何のために生きているのかを、いま一度考え直してみるべきではないか、政治の役割をいま見つめ直す必要があるのではないかと思う」(「わがリベラル・友愛革命」、『Ronza』九六年六月号)
当然の話だが、国境とは概念であるから、自然物のように目に見えない。だが、国境線を越えたら、そこは外国であり、我が国の主権の及ばぬ領域となる。各国は自国を守ることに真剣であり、それは、昔も今もかわらない。
一国の総理まで務めた政治家が国境を軽視するような発言をするのは、不見識というものだ。国家意識が欠如していると批判されても致し方の無いことだろう。
「日本の政治エリート層に反知性主義がはびこっているといわれる。反知性主義と闘うために、日本人一人ひとりの教養を高めることが求められている」
「反知性主義」という言葉は、本来宗教的意味を持つ。そういう意味で言えば、日本に「反知性主義」が蔓延っているというのは、妄想だ。ここで鳩山氏がいいたいのは「無知」や「バカ」、愚かさの象徴としての「反知性主義」ということだろう。
確かに、日本の安全のための法整備に関して「戦争法案だ!」と非難の声を上げたり、いい年をした大学の研究者が、総理に対して「お前は人間じゃない、叩き斬ってやる」などと叫び声をあげていたのだから、「反知性主義」が蔓延っているようにも思われる。だが、鳩山氏の主張はそうではないらしい。
そもそも、この方は外国の新聞で「ルーピー」と指弾される程の「反知性主義」の象徴ともいうべき存在だ。貴方にだけは馬鹿扱いされたくないという国民が多いのではなかろうか。
「日本全体が右傾化しているように思うが、日本の政権がこのような雰囲気をそれとなく作り出しているように思えてならない」
この発言、毎度ながら、リベラルたちの矛盾である。
編集部より:この記事は岩田温氏のブログ「岩田温の備忘録」2015年11月6日の記事を転載させていただきました(画像はアゴラ編集部担当)。オリジナル原稿を読みたい方は岩田温の備忘録をご覧ください。