「ロレックス」を買って、儲けることはできるのか? --- 内藤 忍

ネットで見つけた「腕時計投資のすすめ」という本を読みました。高級腕時計を嗜好品としてだけではなく、投資対象として捉えた著者の実践記をまとめたものです。

斉藤 由貴生
イカロス出版
2015-09-03


実物資産への投資は、金融商品と比較すると市場の「歪み」から収益を得やすい反面、取引コストが高いというデメリットがあります。腕時計投資も例外ではありません。新品を買って中古市場で販売するという方法では、新品プレミアムが無くなる分、リターンをあげるのは極めて困難になります。

人気モデルになりそうな品番のものを中古で購入して値上がりした時点で売却するのが、この投資のコツだそうです。

私自身、不動産を別とすれば現在投資している実物資産はワインだけです。今後、現代アートへの投資もやってみるつもりです。しかし、本書を読んだ後も、残念ながら腕時計投資をやってみようという気にはなりませんでした。

その一番の理由は、腕時計に対して興味や思い入れがまったくないからです。10年以上前から腕時計はしておらず、メンズ雑誌の時計特集もいつも飛ばしてしまいます。数百万円の時計を見ても「欲しい」と言うより「高いから勿体ない」と思ってしまうタイプなのです。

ワインは飲むのも好きですし、レストランに入ると頼みもしないのに10万円以上の投資用にしているワインの価格をチェックして、メニュを見るだけで1時間でも時間を忘れて楽しむことができます。また、現代アートは、知識はまったくありませんが、自分の好きな作品を手元に置いておきたいと思うことがあります。所有欲をくすぐられるのです。

腕時計にもアンティークで目を奪われるような素晴らしい作品がどこかにあるのかもしれません。しかし、私の知っているブランドものの時計は、どれも似たようなデザインで、そもそもの値段に「価値>価格」を感じることが無いのです。

希少性から価値の上昇を見越して投資をするこのような「贅沢品投資」は、本人の投資対象に対する強い思い入れが無いと、目利きはできないし、長期投資として続けることはできません。

逆に言えば、そんなマニアックな人にとっては、楽しみながら実利も得られる可能性のある、とても愉快な投資対象といえるのです。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2015年11月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。