純金融資産1億円だけでは「富裕層」にはなれない --- 内藤 忍

アゴラ

野村総合研究所のデータによれば、純金融資産の保有額が1億円以上5億円未満が95.3万世帯、5億円以上が5.4万世帯あるそうです(2013年データ、図はネットから)。
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前者を「富裕層」、後者を「超富裕層」と名付けています。「資産1億円」というのは、資産運用のわかりやすい目標ですが、純金融資産が1億円あったとして、本当に裕福な世帯と言えるのでしょうか。

例えば「60歳で1億円」保有していたとしても、それから20年以上の人生をお金の不自由なく暮らすには充分な資産とは言えないと思います。何も運用しないでそのまま使っていけば、年間500万円で20年間経てば枯渇します。80歳以上まで生きるのが当たり前の時代ですから、年間500万円も使ってしまったら不安になってしまうでしょう。

年金や他の収入を合わせれば、もう少し使える金額は増えるでしょうが、1億円を単に持っているだけでは豊かな老後は実現できないことがわかると思います。お金の制約から解放されている人を富裕層と定義すれば、純金融資産1億円は、富裕層ではありません。

富裕層になるためには、ストックでまとまったお金を持っているよりも、「フローでお金が入ってくる仕組みを作る」ことが重要です。具体的に言えば、「60歳までに1億円」よりも「60歳から毎月50万円」を目指すべきということです。

例えば、保有している1億円をそのまま元本として使ってしまうのではなく、利回り6%の投資ができれば、年間600万円の収入になりますから、毎月50万円というフローが実現できます。しかしそのためには、お金に働いてもらう方法を勉強しなければなりません。

「ある人に魚を一匹与えれば、その人は一日食える。 魚の取り方を教えれば、その人は一生を通して食える」という諺があります。

真の富裕層になるためには、資産を保有しているだけではなく、その増やし方を知っている必要があります。それが「マネーリテラシー」なのです。マネーリテラシーを身に着けることで、将来のお金の不安から解消されることができます。

富裕層というのは、自分には縁のない世界ではなく、正しい知識と小さな勇気があれば、誰でも到達することができる世界です。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2015年11月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。