行政事業レビュー 河野大臣の問われる真価 --- 松田 公太

行政事業レビューが11月11日から13日の3日間で行われました。
新しい取組みだと思っている方もいるようですが、実は民主党の「事業仕分け」を引き継ぐ形で2年前にスタートしたものです。

※河野大臣の“仕分け”でどこまで切り込めるか(Wikipediaより。アゴラ編集部)

今年になって突然注目を浴びることになったのは、自民党の異端児といわれた河野太郎さんが担当大臣になったからでしょう。河野さんは自民党にいながら原発再稼働や新国立競技場の建設費高騰を批判し、常に注目を浴びてきました。そんな方がレビューを仕切るわけですから、自ずと厳しいチェックが行われるという期待が集まったのです。

しかし、この取組みは廃止・存続の判定までやった事業仕分けとは異なり、単に無駄をチェックするというもの。しかも、結果に強制力はありません(この点は事業仕分けと同じです)。なので、言いっぱなしで、予算削減にそれほどつながらない可能性があります。

また、その対象は「無駄の多いもの、問題のあるもの」とされていますが、今年選ばれたのはエネルギー予算、科学技術予算、オリンピック便乗予算など8府省の55事業。国の事業は約5000ありますので、再検討されたのはわずか1.1%にすぎません。これでは、規模の面からも期待できないという事になってしまいます。

反面、実現の見通しが立たない核燃料サイクルに国民負担のお金が12兆円以上も費やされてきており、今後も毎年1600億円ずつ使われていくということが明るみに出されたことなど、国民に対する問題の発信力と言う点では評価できる部分もありました。

河野さんは就任直後にブログを閉鎖して今まで訴えてきた主張や政策を見られないようにしたり、記者からの質問でも過去の発言をあやふやにするなど、改革を期待している者からは不信を買ってしまうようなスタートとなってしまいましたが、私はこれからだと考えています。

今回指摘したことを、小さくても一つ一つ実現させることができるか。目立たない作業でもPDCAを回してやり抜くことが出来るか。行政事業レビューは河野大臣の真価が問われる重要な仕事になると注目しています。



編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2015年11月18日の記事を転載させていただきました(タイトルは改題。画像はアゴラ編集部)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。