首長はその土地の人じゃなくても良いって本当?

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
昨日で朝霞市議選が終わったと思ったら、今日から小金井市長選挙が開幕です。


山田太郎政調会長とともに、個人推薦を出している岩淵美智子候補(新人)の応援に行ってまいりました。

さて、ちょっとここで選挙制度についてお話したいのですが、実は都道府県知事や区市町村長などの「首長」には、

「その自治体に3ヶ月以上住んでいないと、立候補しちゃダメよ」

という住所要件がありません
地方議員はこれがマストで、よくトラブルになって当選が無効になったりします。

国会議員の場合は「国民の代表」という理由から住所要件がないのですが、一方で首長に住所要件がなくて許されているのは、

「幅広くあらゆる人材を集めるため」

であると一般的に言われています。

とはいえ国会議員も首長も、おそらくほぼ全員が立候補をする自治体に住んでいるのが実態でしょう。

これは選挙における住民感情を考えれば仕方のないことと言えますし、

「実際に住んでみなければ、その自治体のことなんてわからないだろう」

というのも、至極もっともな意見ではあります。

とはいえ、この「首長はよそ者でも良い」という仕組みは、自治体によっては非常にうまく機能する場合があるのではないかと、最近になって思うことが多くなりました。

確かに、生まれも育ちもその自治体!というほうが地元の事情に精通していますし、人脈も豊富でしょう。
しかしながらその分、いわゆる「しがらみ」が増えてきます。

政治家・議員は皆さまよく、

「人々の声に耳を傾け、市政(区政)に反映します!」

と言いますが(私も言います…)、実はこれほど難しいことはありません。

人々の声はもちろん一つではありませんし、時には利害対立さえ含まれるものが多く存在するからです。

そしてその「声」の中には直接的には聞こえてこない、子どもたちや将来世代のものも含まれていることが多くの場合忘れられがちです。

地元に精通していればいるほど、人脈があればあるほど、自分を支えてくれる目の前の人たちの「声」を無視することが難しくなります。
そしてやがて、特定利権の代弁者となり、将来世代にツケを先送りにする…

残念ながら、そのような地方議員や首長の存在は枚挙に暇がありません。

しかしここに、そのようなしがらみから一切断ち切られた、外部人材が挑戦したらどうなるでしょう?

選挙で勝つことは非常に難しいかもしれませんが、仮に当選できれば、地元に縁もゆかりもないからこそ断行できること、決断できる政策があるかもしれません。

「そんな地元のことを知らない人間に、独裁でもされたら困る!」

という不安はあるでしょう。それはその通り。
ですが、そのために地方議会があり、二元代表制が敷かれているのです。

首長に対峙する地方議員たちには、きっちりと住所要件があります。
その地元の生え抜きか、少なくとも一定期間を生活して土地勘のある人々です。

外部からきたしがらみのない人材が大ナタを振るう政策を提案をし、地元に支えられた議員たちがそれをマイルドに修正していく…

こんな関係性を築くことができれば、自治体にとってベストな改革が進んで行くかもしれません。

小金井市においては、前市長が4期16年という長期政権を担っていました。
もともとの強固な地盤に加えて、長い年月ですっかりと身動きが取れなくなり、ゴミ処理場問題の一部も市庁舎の建て替え問題も、10年単位で「先送り」です。

こうした自治体に変革を起こすためには、地元にあまりにも支えられた人材よりもむしろ、外部からしがらみのない新風を吹き込むようなトップが求められます。

岩渕候補は現在は小金井在住のようですが、東京都23区出身、行政経験は宮城県というバックグラウンドです。
だからこそ私は、5期20年の停滞に風穴を開けてくださるのではないかと期待しています。

やはり地元出身・地元在住というのが感情的には非常に強いのが地方選挙の実態ではありますが、

「なぜ首長にはあえて、住所要件が設けられていないのか」

そんなことを皆さまが改めて考える機会となれば幸いです。
それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。

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