来年の参院選に向け、政局が動いています。
参考:維新離党の国会議員ら、2015年内の新党結成を模索
今年だけに限らず、政局が大きく動くのは年末に集中しています。
みんなの党が無くなったのは昨年の11月28日ですし、「生活の党と山本太郎となかまたち」が結党されたのは12月26日。
いったいなぜ年末に政党の動きが目立つのか・・・
この1つの理由に、「政党交付金」という国庫から交付される資金の存在があります。
「政党交付金」とは、簡単に説明しますと、
・政党に所属している人数
・選挙で得た票の数
に応じて、国から政党へお金が支払われます。
例えば、2015年には自民党は170.4億円、太陽の党は9,300万円、国から資金が支払われています。
「政党交付金の金額がいくらになるのか?」を決める基準となる日が1月1日となっているため、離党しようとする議員や新党を作ろうとする議員たちは、締切間近の年末に活発になるのです。
ひとり250円で総額320億円!
実はこの政党交付金、全国民から一律に「250円」が徴収されています。
「政党の活動は国家の発展のため」という理由から、選挙権の無い18歳未満も一律に集められている点も注目です。
恐らく、多くの人は、「250円」税金として払っていることも、そもそも「政党交付金」という制度も知らないのではないでしょうか?
私たちから集まった250円の総額はなんと、
日本国民約1億2,800万人×250円=約320億円!
320億円もの大金が、各政党に配分されているのですから、その配分にも少し興味が湧いてくるのではないでしょうか。そこで、近年で各政党にいくら政党交付金が支払われたのか、まとめてみました。
自民と民主で8割、250億円程
政党交付金は、「国民数×250円」と決まっていますので、総額はおおよそ320億円ほどです。この320億円を、各政党で得票数と所属議員の数で「山分け」するのですが、第一党、第二党の自民党と民主党で220億円~270億円、おおよそ8割程度を占めていることが分かりました。
政権交代した2009年からは民主党が自民党よりも多く、170億円程度を占めていました。そして再度政権交代が起こった2012年以降は、自民党と民主党の差がどんどん大きくなっています。
青線が自民党、赤線が民主党(※単位:億円。小数点第二位以降を切り捨て)
維新登場のインパクト、右肩上がりだったみんなの党、安定感のある新党改革
自民党と民主党を除いた各政党の交付金の推移がこちらです。
※単位:億円。小数点第二位以降を切り捨て
こうしてグラフにすると、政党の成長・衰退が見えてきますね!
2013年に登場した維新は、登場とともに、27億円プレイヤー!
あっという間に自民・民主に次ぐ第三位になっています。
みんなの党は2009年時点では1.1億円だったのですが、右肩上がりを続け20億円の大台にまで!しかし、2014年に解党していました…
公明党のように、安定した支持基盤がある政党は、政党交付金も安定していますね。個人的には、新党改革が7年連続で1億円程度をキープしている点が驚きでした。金額は大きくはないのですが、これだけ安定していると、実は価値の高い政党なのでは・・・?と、僕の中での評価が上がりました!
自分のお金の使われ方に興味を持とう
記事の冒頭でも触れましたが、政党交付金は僕たち国民から一律に集められた250円で支払われています。
普段の生活では、政治家の活動を身近に感じることは少ないですが、「自分のお金が使われている!」と思うと、どうでしょう、少しは「政治家の動きに注視しよう!」と思える方もいらっしゃるのではないでしょうか?
政党交付金の金額が決まる1月1日まで今後も政局が活発に動くかもしれません、ぜひ注目してみてください。
※なお、共産党は政党交付金制度に反対しているため、交付金は支給されていません。
増沢諒:食べる政治代表
1988年長野市出身。早稲田大学卒業後、ITベンチャーでの勤務を経て、現在、東工大大学院修士課程。研究テーマは「ネットと政治」。ネット選挙解禁を目指す活動「One Voice Campaign」をはじめとし、様々な啓蒙活動を展開。2014年マニフェスト大賞受賞。
Twitter:mojamoja_megane
WEBサイト:http://taberuseiji.com/
編集部より:この記事は、選挙ドットコム 2015年12月11日の記事『国民の数×250円=総額320億円!我々の血税、政党交付金の行方を追ってみる』を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は選挙ドットコムをご覧ください。