最年少副町長が気付いた「地方創生への1番の誤解」 --- 井上 貴至

「長島町では、ぶり奨学金を始めこれだけの施策を半年余りの短い期間でよく実践できますね。地域での反対、対立はないんですか?

自治体関係者やメディアから、最近よく聞かれる質問だ。

答えは、「ありません。」
そう答えると、怪訝な顔をされる。

しかし、これこそが「地方創生への1番の誤解」だろう。


(今日も穏やかな長島大陸の内海)

地方行政に対して注目や関心が集まるときは、

●いわゆる迷惑施設を建てるとき、
●公共施設等を統合再編するとき

など賛否両論がある問題について、それぞれの立場から侃侃諤諤(かんかんがくがく)議論するときが多いので、「地方行政とは対立を解消するものだ」と、捉えている人が多いのだろう。

もちろん、外的環境などによっては、賛否両論がある問題に取り組まなければならないときもあるし、そうしたときは逃げずに、丁寧に誠心誠意対応しなければならない。ベストは無理でも、できる限りベターな選択を求めて。

しかし、自分たちで地域づくりを行うときに、わざわざ賛否両論がある問題から取り組む必要はないし、むしろ取り組んではいけないと思う。

何事も手順が大切。
賛否両論があるような最も難しい問題に最初から取り組むのは、九九もおぼつかない生徒がいきなり因数分解を解こうとするようなもので、つまずきのもとだろう。

その前にやるべきことは、たくさんある!
まずは、みんなが総論で賛成、大きな夢を描けるものから始めるべきだ

例えば、「ぶり奨学金」。
地元を離れて、高校や大学などに通った生徒・学生が、卒業後地元に戻ってきやすいように、返済を補填する奨学金をつくりましょう。そのために、地域のみんなでできる範囲で支えましょう。

あるいは、「バイオマス
豚・牛の糞、焼酎カス、漁協の残渣、規格外のじゃがいも、生ごみ・・・地域の外にお金を払って捨てているものをエネルギーに変えて、電気・熱・肥料として使いましょう。

ということならば、地域のみんなが夢に乗ることができる。
そもそもの段階から反対の人は出てこないだろう。
だからこそスピード感を持って取り組むことができる。

みんなが夢を描くことができるアジェンダを選択すること、それこそが地域づくりを進めるトップに求められることではないだろうか。



<井上貴至(長島町副町長(地方創生担当)プロフィール>
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68458684.html

http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68480758.html


編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2015年12月12日の記事を転載させていただきました(アゴラ編集部で改題)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。